3年目の決意

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8月のプロ野球界は、たいへん盛り上がっていた。

セ・リーグではカープが2位のジャイアンツに12ゲーム差をつけてトップ独走。25年ぶりのリーグ優勝がほぼ決定となっていた。

パ・リーグでは俺達ファイターズが、チーム新記録の15連勝などもあり、最大11.5ゲーム差ついていたソフトバンクに追いついた。
一時は追い抜いて首位に立ったが、三日天下どころか一日天下で終わってしまった。
しかし、離されることはなく8月終了時点でなんと0.5ゲーム差に詰め寄っていた。



7月不調だった大将はというと。

あの日以来、また打てない日が続いた。
試合中に帰宅してしまうなんて事件もあった。

さすがに監督に呼ばれて、なにやら話し合いかなにかしたようだった。

そしたらそれ以来、調子を取り戻し始めて８月の末には三試合連続ホームランを見せてくれた。


というわけで、今は9月。
シーズンも終盤なわけだが、俺、西川遥輝はとんでもないことを考えついてしまった。


｢卓さん、たとえば…たとえばっすよ？
日本一になったら告白する、とかってアリ？｣

｢アリなんじゃないの。
なに、ついに言う気になったの？｣


今日は移動日だったので、卓さんとご飯に来ている。
そこで俺はひっそり考えていた今後の展開予想(妄想)を卓さんに話していた。


｢だって！
カープ優勝ほぼ確定やないですか。CSどうなるかわからんけど。
でもこれで俺ら優勝したら日本シリーズ広島でやるから、見に来てもらえるやないすか！｣

｢そやね｣

｢なんならワンチャン広島で日本一決まるかも！｣

｢ファンのためには札幌で決めてあげたいけどね｣

｢…卓さんなんか塩対応すね｣

｢んなことないけど。別に日本一とかでカッコつけなくてもお前ら絶対うまく行くと思ってるから割とどうでもいい…｣

｢えぇ…｣


傍から見たらいい雰囲気ってことなんだろうか。でも俺も少し自信あるんだ。
確信ってほどではないけど、頻繁にメールのやり取りするし、手作りのお菓子くれるし、背中叩きに来てくれるし。これは脈アリと思わざるを得ないだろう。


｢だけど、それで遥輝が頑張れるってんならいい目標になるんじゃない？｣

｢…そうっすね。よし、決めたっす。
日本一になったらAちゃんに告白する。｣

｢だったら、可愛い後輩のために俺も頑張んなきゃな。
…なろうぜ、日本一。｣

｢その前にリーグ優勝っすね｣


見ててな、Aちゃん。
日本一になって、俺の想い全部伝えるから。

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