3年目の決意

37 ページ39

｢遥輝、お前やな？A呼んだの。｣

円陣を組んだ後、大将にベンチで声を掛けられた。

怒られるかな、って思ったらそうじゃなくて。
ありがとう、って言われて驚いた。

｢でもA見に来たからにはお前も打たなあかんな。｣

なんてハッパかけられた。
言われなくてもやってやる。


そして試合は始まった。


俺は初回四球で塁に出る。これは初っ端から盗塁チャンスだ。Aちゃんも見ているし、決めるしかない！
投手のモーションを見てスタートをきる。
盗塁成功だ。これでゲッツーはほぼない。大将まで回る。

しかし残念ながら大将は三振でチェンジ。


その後レアードと奨太さんで1点を先制するものの、裏ですぐ追いつかれ、更に次の回で逆転された。

迎えた4回表。大将からの打順。

1球目、ナックルカーブを見送ってボール
2球目、高めのスライダーをファウル
3球目、またしても高めのスライダー見送って1-2と追い込まれ。

そこからファウルでねばる。

打ってくれ。いや、絶対打つ。

Aちゃんと卓さんから教わった言霊の力を信じる。
弱気になったらダメなんだ。
客席できっとAちゃんも打つって信じてる。いける。

迎えた7球目。

気持ちいいほど芯でとらえた音が響いた。

打球は左中間へ。
伸びて、伸びて、スタンドへ入った。

これには客席も、ベンチも大歓声。


やっぱAちゃん、すげーや。
勝利の女神すぎる。


ダイヤモンドを回ってベンチに戻ってきた大将をハイタッチで迎える。

｢打てるやないですかー！｣

｢…4番やからな。
なんてな、打てたわ。ホッとした(笑)｣

なんて。

さて、大将は打った。
次は俺の番。まだ全然活躍してない。

俺もいいとこ見せなきゃ！


意気込んだものの上手いこと活躍できずに9回まで来てしまった。

先頭の奨太さんが四球で出塁し、卓さんが送る。
1死2塁のチャンスで打者は俺。

ここしかないやろ！

初球は気合入りすぎてファウル。
2球目は冷静に低めのストレート見送ってボール。

3球目、バットに当たった打球はセンターへ飛んでいく。
これがタイムリーヒットになった。

盛り上がる観客席。さすがにAちゃんがどこにいるかは分からないけど、いるであろう方向に向けてガッツポーズしといた。

その後二死になるものの、死球で1,2塁。
バッターボックスには大将。
初球から思いっきり振り抜いて、レフトへのタイムリーツーベース。

ファイターズは8-4で勝利をおさめた。


｢(これが俺らの大将や！)｣

38→←36

ラッキー食べ物

すし

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す