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6月。

交流戦が終わり、またソフトバンクを追いかけるシーズンがスタートした。

だけどソフトバンクの背中は遠い。

ファイターズが試合に勝っても、ソフトバンクも勝つ。

追いつけない。
シーズン序盤のような苦しさはもうないのに。

翔平も日本最速163kmバンバン投げてるし、調子いい。
打撃だってレアードはじめ、みんなそれなりにいい感じ。


大将はなんだか、不調みたいだけど。


そうして、6月24日。
ついに首位ソフトバンクとのゲーム差は11.5ゲーム差まで開いてしまった。
ファイターズは先月と変わらず3位のまま。

今日は神戸で試合の予定だったのだが、残念ながら中止。
俺達は夜にホテルで行われたミーティングで首位とのゲーム差を聞かされた。


「…遥輝、」

「大将、どないしたんですか」

「…なんで俺打てないんやろ」


その日。大将が、弱音を吐いた。


「情けないな、俺…」

「大将…」


負け続けてるわけじゃない。
むしろ2連勝して勢いが出てきたところだ。

だけど大将はなにやら不調のようで、ココ最近大将らしい1発を見ていない気がする。


「…これからやないですか!
誰にだって調子悪い時くらいありますよ!なに弱音なんて吐いてるんすか、らしくないっすよ!」

「…」


俺の言葉は、響かないのかな。

こんな時、Aちゃんだったらなんて言うんだろうか。


答えは、出ないまま。


思わず、Aちゃんに電話してしまった。
あんな大将見ていたくなくて、はやくいつもの気持ちいいくらいのバッティング音を聞かせて欲しくて。

3コール程でAちゃんが電話に出た。


「ごめんなあ、こんな時間に。」

『いえ。どうかしたんですか?電話なんて珍しいですね。』

「実は、大将がなー…」


事のあらましを説明する。
と、Aちゃんはなんとも優しい声で

『ほっとけばいいと思います』

なんてあっけらかんと言うものだから、俺は少し驚いた。


『翔は野球が好きだから、ほっといても大丈夫です。野球が楽しいってこと、翔が忘れられるわけないですから。
打てなくて嫌になるのは打ちたいからですもん。あぁ見えて努力家だし、きっとすぐみんなの期待に応えてくれますよ。』


ずっと大将を見てきたAちゃんがそう言うなら、きっとそうなのかもしれない。
下手につつくと大将のプライドもあるだろう、俺はあくまでもいつも通りにしよう、そう思った。


『翔もだけど、遥輝さんの活躍にも期待してますよ!』

「プレッシャーあかんて(笑)」

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紫椏(プロフ) - せーらさん» お読みいただきありがとうございました!面白かったと言ってもらえて本当に嬉しいです。データが飛んでも書き続けてよかった…! (2017年2月20日 21時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
せーら(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すっごく面白かったです!!! (2017年2月20日 9時) (レス) id: 8c3fdebe22 (このIDを非表示/違反報告)
紫椏(プロフ) - えりさん» コメありがとうございます!有原くんがこんなにかっこよくなるとは作者も思いませんでした(笑) (2017年2月16日 16時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
えり - 主役遥輝なんだけど有原さんかっこいいです(*^^*)初コメ失礼しました。 (2017年2月16日 16時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫椏 | 作成日時:2016年11月27日 10時

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