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キャッチボール。
それは二年前、連絡先を知ってまもない頃に軽い感じで言った二人の約束。
｢次会うときに｣なんて言ってたけどやっぱそんな時間もなくて、忘れていたわけじゃないけど、とっくにもう無かったことになってるかと思っていた。
｢遥輝さんはいつも私に言ったこと、守ってくれてた。ホームランも、盗塁王も。
だから、今度は私が約束を守りに来たんです。｣
そう言うと、ある程度距離をとってAちゃんはグローブをはめる。ボールも準備してあるようだ。
いきますよー、とAちゃんが叫ぶ。
Aちゃんが投げたボールは緩やかな弧を描きつつ、真っ直ぐに俺のグラブの中に入ってくる。
フォームも、球筋も、めちゃくちゃ綺麗。プロのソレと比べても遜色ないくらいに。
そっか、たまに少年野球チームの練習手伝ってるって言ってたっけ。そこでもこうやって投げてんのかな。元ピッチャーって言ってたもんなあ。
受けたボールを投げ返す。
すると、Aちゃんのグラブはいい音を鳴らした。
キャッチングも上手い。いい音が鳴るのはうまい証拠だ。
そうして何球か投げては返し、投げては返し。
いつ終わるのか
何の意味があるのか。
そう思った頃。
｢遥輝さん、今、野球楽しいですか？｣
ボールとともに投げられた言葉。
楽しい？ここ最近の試合楽しいかどうかなんて考えたことあったかな。
なにも言い返せず、ボールだけ返す。
ボールを受け取ったAちゃんは、1度俯いてからまた顔を上げた。
その、真剣な眼差しに、目が離せなくなった。
｢野球をホントに楽しめるのは、ホンキで勝とうとする人間だけです。｣
｢…｣
｢なんて。この台詞、私の好きな漫画のセリフなんですけど。
でもここ最近の試合、勝ちたいと思ってました？｣
｢それは、｣
｢相手チームにはもちろん、ファイターズの先輩や後輩、同じポジションを守る人たちに。そしてなにより自分に。｣
何が言いたいんだ。
だんだんとイライラが増してくる。
俺だって好きで不調な訳じゃない。
｢遥輝さんらしくな｣
｢あのなぁ！じゃあAちゃんの思う俺らしさってなんなん！？俺かて必死でやっとった！期待されてるから応えなあかんって！プロやし！仕事やし！！｣
｢それがもう間違ってるんですよ！
だって遥輝さん、お金が欲しくて野球やってるわけじゃないでしょう…？｣
"野球が好きだから、仕事にしたんでしょう？"
Aちゃんの目は真っ直ぐに俺を見ていた。
ラッキー食べ物
すし
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紫椏(プロフ) - せーらさん» お読みいただきありがとうございました！面白かったと言ってもらえて本当に嬉しいです。データが飛んでも書き続けてよかった…！ (2017年2月20日 21時) (
レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
せーら(プロフ) - 完結おめでとうございます！！すっごく面白かったです！！！ (2017年2月20日 9時) (レス) id: 8c3fdebe22 (このIDを非表示/違反報告)
紫椏(プロフ) - えりさん» コメありがとうございます！有原くんがこんなにかっこよくなるとは作者も思いませんでした(笑) (2017年2月16日 16時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
えり - 主役遥輝なんだけど有原さんかっこいいです(*^^*)初コメ失礼しました。 (2017年2月16日 16時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫椏 | 作成日時：2016年11月27日 10時
