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「なんでAが、中田さんの家に…」
「え、私の家ですもん」
「…は?」
「中田翔は、私の従兄弟ですから」
驚きすぎて、声も発さず口をぱくぱくさせる有原。
「高校の頃お話したじゃないですか、親戚にプロ野球選手がいるって。
まさかあの時は航平先輩と翔がチームメイトになるなんて思いもしなかったですよ。」
「え、2人は高校からの知り合いなん…?ていうか、先輩後輩?」
話に横から割って入る。
2人の関係を聞くのは怖かったが、いつまでもモヤモヤしているのも嫌だった。
話を聞けば、Aちゃんは有原と同じ広陵高校の出身らしい。
マネージャーという訳ではなかったが、野球部の練習の手伝いをしていた経験があり、その時に有原と出会ったという。
「航平先輩いるならお菓子足りないかもなあ」
「Aさんも有原さんの食べっぷり知ってるんですか?」
Aちゃんがボソリと呟いた言葉を大谷が拾う。
そしたらAちゃんは笑って、そりゃそうですよ、と答えた。
「私の作ったお菓子も残さず食べてくれたし、ご飯に連れていってもらった時も、私の5倍は食べてたんじゃないですかね〜。高校生でそんなにお金ないから、いつも安い食べ放題のお店でしたけど。」
…待て。色々ツッコミたい。
まず一つ。
高校時代に有原はAちゃんの手作りお菓子を貰ったことがあるということ。
まぁこれはいい。
きっと野球部への差し入れ、といったとこだろう。
問題はもう一つの方だ。
それは、一緒にご飯に行ったということ……いつも、という言葉から、それも複数回であることが窺える。
普通、直属の先輩後輩でもない関係で、ご飯に行くか?
付き合ってた、とか……?
いやいやいやいや、ナイナイナイナイ。
俺は一瞬よぎった考えを振り払うように、頭をぶんぶん振った。
「遥輝さん?」
Aちゃんが不思議そうに見てくる。
そりゃそうだ。突然頭振るなんて変人じゃないか。
「いらん想像しただけ。大丈夫。」
「そう、ですか?ならいいんですけど…
あ、そうそう。これ皆さんで、食後のデザートにどうぞ。ブッセなんですけど、お店の売れ残りなんで気にせず食べてください!」
テーブルに紙袋を置いて、Aちゃんは着替えのためにリビングから出て自室へ行った。
まぁお菓子に真っ先に飛びつくのは翔平。
こいつ遠慮しなくなってきたよな…
ラッキー食べ物
すし
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紫椏(プロフ) - せーらさん» お読みいただきありがとうございました!面白かったと言ってもらえて本当に嬉しいです。データが飛んでも書き続けてよかった…! (2017年2月20日 21時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
せーら(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すっごく面白かったです!!! (2017年2月20日 9時) (レス) id: 8c3fdebe22 (このIDを非表示/違反報告)
紫椏(プロフ) - えりさん» コメありがとうございます!有原くんがこんなにかっこよくなるとは作者も思いませんでした(笑) (2017年2月16日 16時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
えり - 主役遥輝なんだけど有原さんかっこいいです(*^^*)初コメ失礼しました。 (2017年2月16日 16時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫椏 | 作成日時:2016年11月27日 10時