21 ページ23
8月14日。
前年度の自身の記録を超える23個目の盗塁を記録した俺は、そこからギアがさらに上がった感じだった。
自分の記録を超えることで、自信が湧いた。
翌日の試合では、1試合で2つの盗塁を決めた。
その次の日の試合も盗塁を1つ決めて、その次の日も盗塁を決めて。
あっという間に盗塁は27個目。
まだまだ盗塁王目指すには足りないけど。
去年の盗塁王であるダイさんの記録は47個だ。あと20個って考えると、なかなか遠い。
毎日Aちゃんからメールが来た。
すごいって。かっこいいって。
塁に出るたび、ドキドキするって。
そのまま、目を離さないで。
ずっと俺のこと見ててほしい。
カッコイイとこたくさん見せたいんだ。
その後も、走って走って走りまくった。
正直相手がどこのチームでも、牽制しつこいし、めちゃくちゃ警戒されてた。
だけどその中で盗塁決めるとかなり気持ちよくて。
『今の俺カッコよかったなー』なんてちょっとだけナルシストな脳内になってみたりもした。
8月30日には1試合で3つの盗塁を決めて、記録は36個になった。
糸井さんの28個、ヘルマンの26個、柳田さんの25個に大差をつけて、トップ独走。
「遥輝、今日めっちゃ走ったな〜」
試合後、卓さん(この人も何気に盗塁20個決めてる)から声をかけられた。
「盗塁王、狙ってるんで。」
「それシーズン前から言ってるよな。別に去年の成績が惜しかったわけでもないのに何でいきなり狙い始めたの?」
「言われたんすよ。俺なら盗塁王獲れるって。だからやったろって思って。」
「…ふーん、Aちゃんか。」
いきなりAちゃんって言われてビックリして飲んでた水を吹き出しそうになった。
隣でめちゃくちゃ笑ってる卓さん。
「遥輝、お前すっごいわかりやすいよ。特にAちゃんの事になるとね。」
「まじすか。」
「マジだよ。なんか、3割増表情が柔らかくなるから。なんつーか、『恋してます!』って感じの表情してる。」
それを聞いて思わず絶句。
確かに表情豊かっていうか、わかりやすいとは高校時代からよく言われてたけど。
特に不貞腐れてる時とかは隠すのが下手くそだとよく言われてたけど!
「俺はいいと思うけど?そーゆー顔も。」
なんだかすごく恥ずかしくなった。
「…慎吾あたりにバレるとうるさそうなんで、ちょっと気を付けます。」
「…もうだいぶバレてると思うけどね。よく『また遥輝さんニヤけてる〜』とか言ってるし。」
「え、嘘!」
ラッキー食べ物
すし
308人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫椏(プロフ) - せーらさん» お読みいただきありがとうございました!面白かったと言ってもらえて本当に嬉しいです。データが飛んでも書き続けてよかった…! (2017年2月20日 21時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
せーら(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すっごく面白かったです!!! (2017年2月20日 9時) (レス) id: 8c3fdebe22 (このIDを非表示/違反報告)
紫椏(プロフ) - えりさん» コメありがとうございます!有原くんがこんなにかっこよくなるとは作者も思いませんでした(笑) (2017年2月16日 16時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
えり - 主役遥輝なんだけど有原さんかっこいいです(*^^*)初コメ失礼しました。 (2017年2月16日 16時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紫椏 | 作成日時:2016年11月27日 10時