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30分くらいだろうか。

彼女は手に何かを持ってリビングへ戻ってきた。


「簡単なもので申し訳ないですけど……」


そう言ってテーブルに置かれたのはマドレーヌ。

美味そう、とは思うものの一番に手を伸ばすのは気が引けた。恐らく周りも同じ気持ちだろう、拳士さんも、甘いものに目がない翔平でさえも手を出さない。


「遠慮してんのか?食っていいぞ?」

「いただきます!!」


大将の声に即座に反応したのは翔平。そのスピードは待てから開放された犬みたいだった。


「俺もいただきまーす」


俺も一つ手に取って口へ運ぶ。
表面はサクッと、でも中はふわっと。
お菓子屋さんに売られてるものみたいに美味しかった。


他の人たちからもうまいうまいと大絶賛。


彼女はホッとしたような笑みを浮かべてて、それを見て俺はまた「かわいいな」って、ドキッとしてしまった。


その後、部屋に戻ろうとした彼女だったが、大将の手により阻まれた。「この場で人見知りを克服しろ」という指令が出されたのだ。




「なぁなぁ、Aちゃん、って呼んでええ?」

「あ、はい、どうぞ…」

「俺のことも遥輝でええから。
歳も近いし、仲良うしようや。」

「遥輝、さん。」


あかん。
名前呼ばれただけなのに。
ニヤけそう。
変な人だと思われたくないから平常心を保つ!


「Aちゃん野球は好きなん?」

「あ、はい。よく見ます。
…遥輝さんって、めちゃくちゃ足速いですよね。」


俺のこと、知ってくれてる。

一軍にやっと定着したかな、ってくらいなのに。ここは広島なのに。

ファイターズを観てるのは大将がいるからだってわかってはいても、観てくれていること、俺を知ってくれていることが嬉しくて、この場で走り出したい気分だ。


「交流戦は?見に来る?」


明日から、対広島2連戦。来てくれたら…スタメン入ってるかもわかんないけど…俺、頑張れるなあって思った。


「あ、えと、学校で…行けなくて…」

「そっか…残念やな…見に来てくれたら頑張れると思ったんやけどなあ」


後ろで拳士さんが「遥輝がAちゃん口説いてるー!」なんて騒いでる。大将は「お似合いやからほっとけ」って。
翔平はまだマドレーヌ食べてるし。どんだけ気に入ったの。俺もまだ食べたいんだから残しとけよ。


少しだけ、照れたような、困惑した表情をしていたAちゃんが口を開く。


「遙輝さんて…結構、その…チャラいです…?」


俺の本気度は伝わってなかったらしい。

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ラッキー食べ物

すし


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紫椏(プロフ) - せーらさん» お読みいただきありがとうございました!面白かったと言ってもらえて本当に嬉しいです。データが飛んでも書き続けてよかった…! (2017年2月20日 21時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
せーら(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すっごく面白かったです!!! (2017年2月20日 9時) (レス) id: 8c3fdebe22 (このIDを非表示/違反報告)
紫椏(プロフ) - えりさん» コメありがとうございます!有原くんがこんなにかっこよくなるとは作者も思いませんでした(笑) (2017年2月16日 16時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
えり - 主役遥輝なんだけど有原さんかっこいいです(*^^*)初コメ失礼しました。 (2017年2月16日 16時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫椏 | 作成日時:2016年11月27日 10時

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