17 ページ19
楽しかった中田会翌日。
今日は広島戦にむけて練習だ。
明日の試合、天気怪しそうだよなあ、なんてみんなで話しながらトレーニング。
そういえば去年も雨で1戦目潰れたよなーとか。
でもまぁ天気の話がそんなに長くもつはずもなく、話は昨日の中田会のことへ。
「慎吾お前昨日Aちゃんのピーチパイ食った?」
「そりゃ食うでしょ!焼きたてめっちゃ美味しかったっす〜!」
「ほんなら試合で絶対活躍しなあかんで」
「なんでっすか?」
「桃の花言葉って『天下無敵』って言うんやって。だから桃のデザート作ったってAちゃん言うてた。やから、Aちゃんのピーチパイ食べた奴全員活躍しなあかんで。」
「やばい。花言葉とか女子力……てかそんな思いが込められてたんすね。そら頑張らんとー!」
っしゃ来ーい!なんて声をめいっぱい上げてバッティング練習に向かう慎吾。
やばい。Aちゃんの可愛いとこ話したりなんかして、慎吾がAちゃんを好きになったりとか……ないよな……?
あーあ、今までこんなに臆病になったことあったっけ?
誰にも渡したくないとか、そんな強い独占欲抱いたことあったっけ?
笑った顔を思い出してはニヤけるような、そんな気持ち悪い人間だったっけ、俺。
そりゃ今までの人生で彼女がいたことはある。その歴代の彼女達だって、ちゃんと好きで付き合ってたはずだけど、なんか、Aちゃんは、特別好きかもしれない。
『応援してます、ずっと。』
『見るなって言われても、きっと無意識で見ちゃいます』
あんなセリフ、ずるい。
脳内にしっかり保存したAちゃんの言葉を何度も再生しながら、その日の練習は死ぬほど頑張った。
練習を終えてホテルに帰った直後、メールを受信した。
「From:Aちゃん
subject:練習お疲れ様です
もうホテルに戻ってますか?
昨日約束したパウンドケーキを作りました。
フロントの方に渡してあるので、受け取ってください。」
部屋に戻るみんなの輪から抜けてフロントへ。
「あの、すいません。西川遥輝宛になにか預かり物とかしてませんか?中田Aちゃんって子から…」
「はい、お預かりしております。こちらですね。」
渡された紙袋。中には前と同じように透明な袋に包まれたパウンドケーキ。
「To:Aちゃん
subject:受け取った!
ほんまに作ってくれたん?ありがとう!
明日の俺の活躍期待しとってな!!」
部屋に戻って一つ食べる。
…明日は打てそうな気がした。
ラッキー食べ物
すし
308人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫椏(プロフ) - せーらさん» お読みいただきありがとうございました!面白かったと言ってもらえて本当に嬉しいです。データが飛んでも書き続けてよかった…! (2017年2月20日 21時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
せーら(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すっごく面白かったです!!! (2017年2月20日 9時) (レス) id: 8c3fdebe22 (このIDを非表示/違反報告)
紫椏(プロフ) - えりさん» コメありがとうございます!有原くんがこんなにかっこよくなるとは作者も思いませんでした(笑) (2017年2月16日 16時) (レス) id: b888682380 (このIDを非表示/違反報告)
えり - 主役遥輝なんだけど有原さんかっこいいです(*^^*)初コメ失礼しました。 (2017年2月16日 16時) (レス) id: 4c6f302957 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紫椏 | 作成日時:2016年11月27日 10時