この薄汚れた世界の中で

#20 休息 ページ43

AA､絶賛休暇中｡
私だけ､なんて流石に悪いと思ったのだが｡

櫻井｢丁度依頼もないし､大丈夫｡それよか､DABAが使い物にならなくてｗAは､Aはーってｗｗｗ｣


櫻井さんに背を押され､あれよあれよという間に
DABAが居るであろう広間へ連行される｡
そこのドアを開けようとした時


『櫻井さん?』
櫻井｢んー……ねぇ､A｣
突然､ぎゅう､と音がしそうな程強く抱きしめられる



……あ､櫻井さんの匂いだ｡



櫻井さんはそのまま私の肩におでこを押し付け､
櫻井｢お願いだから､もうあんな無茶しないで…｣
震える声でそう呟いた｡

櫻井｢俺ね､お前がそういう任務する度に心が千切れそうなの｡分かってるけど､嫌なの｡
いっそ､俺がお前を汚してしまおうかって思うくらい｣

私の目を覗き込むその瞳は､薄く涙の幕が張られていて＿＿＿＿不安そうに揺れていた｡



櫻井｢いつかお前が､居なくなっちゃうんじゃないかって｡何も言わずに､俺らの前から消えちゃう気がして｣
『何があっても居なくなりません｡だって､』
櫻井｢こんな事されても?｣


続けようとした私の言葉は､そこで切れた＿＿＿＿否､切らざるを得なかった｡
櫻井さんによって私の口が塞がれてしまったから



どこで､って?そんなの愚問だろう｡
『んぐっ……さくら､…んぅ』
櫻井｢ん､黙って｡声､聞こえちゃうでしょ?｣

櫻井さんの舌が歯列をなぞる度に､ピリピリとした快感に襲われる｡
後頭部を掴まれ､顔を離す事も叶わなかった私は
ただその舌使いに翻弄されるしかなかった｡


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿



どのくらい経っただろう｡

櫻井｢……ね､何で抵抗しないの?｣
息も絶え絶えに彼が問う｡


2人の間で煌めいていた銀糸がふつりと切れる


『何で､でしょう』
隙なんていくらでもあった筈だ｡
でも､何故だか払えなかった｡
驚きはしたけど､不思議と嫌悪感は無くて｡



自問自答にはしる私を見透かすように､
櫻井｢俺は､こういう意味でAが好き｡だから､こんなに心配してるの｡
…いい加減､潤なんかやめて俺に落ちなよ｣
まぁ､考えといて｡と付け足し､ドアノブを捻る櫻井さん｡




この人の優しさに甘えてちゃダメだ｡
伝えなきゃ｡せめて､これだけでも｡



『あ､あの｡答えが出たらちゃんと言います』
櫻井｢!……そ｡待ってる｣
ふわりと笑ったその顔に､少し胸が高鳴った｡









……えっ､どうして?

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