ビー玉は知っている。< 2 >

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仕事を失った俺が、病人の俺が、
親にも会社にも既に迷惑をかけてる俺が、
どうして人に甘えようなんて思うだろう。
そんな事をあの日の病院帰りも思ってた。



そしたらさ、窓から太輔の会社が見えたんだよね。



あぁ･･･あの人優しかったなぁって太輔を思い出した。
そんであの人元気かなぁって。
俺みたいになってねぇかなぁって。
仕事大変になっちゃってんだろうなぁって。
悪い事しちゃったなぁって。



色々思ったあとに、また会いてぇなぁって思った。



そしたら電車を降りてた。
会えるかも分からないのに馬鹿だよな。笑

でも誰かに甘えたいって思わなかったのに、
太輔にだったら･･･って不思議と思ったんだ。

少し姿が見れれば良かった。
欲を言うなら少し喋れたらって。

駅降りてビックリしたよ。
平日だと思ってたら連休中だったんだよな！笑
祭があったのなんかすっかり忘れてた。
あの祭、あの辺じゃでかいから昔よく行ってたよ。

そんな人混みの中、
俺は会社の入口が見える所で太輔を待ってたんだ。
連休中だし本当に会えるなんて思ってなかった。
だから1時間だけってそう思ってた。

でも1時間なんてあっという間だった。
楽しかった祭の思い出と優しかった太輔の思い出、
楽しかったなぁ、優しかったなぁって思ってるだけで、
不思議と時間があっという間に過ぎてった。

気付いたら2時間以上経ってた。
ビックリだよね！笑
でも流石に諦めがついてきて、
区切りよくあと少しだけって思ってたら太輔が現れた。

胸が高鳴ったよ。
｢来た！｣って思ったら体が勝手に動いてた。
もし、もし会えたら、もし、もし話せたらって、
色々想像してたくせにその時はまっ白だった。

ただ見失いたくなくて、
必死に太輔から目を離さないようにしてて、
気付いたら体当たりしてた。笑
勢いよくぶつかってごめんな、痛くなかった？笑

無計画にぶつかった後で俺もハッとしてさ、
取り合えず謝らなきゃって思って顔あげたら、
太輔が俺の名前を呼んだんだよ。

驚いたよ。
でも今思えば太輔の方が驚いた顔してたかも。笑



でも、運命だって勝手に思った。



会えるかも分からないのに待ってたら会えた。
しかも名前を呼ばれた。
俺の事を覚えてるのかもって胸が高鳴った。
あんなに自分を捨てたいって思ってたのに、
自分を知られてる事が嬉しいって思った。



でもやっぱ太輔は覚えてなかったね。笑


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