ビー玉は知っている。< 2 >

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━ 空に魚が泳ぐ日 ━






それがなんなのかは、すぐに分かった。

前に彼が空飛ぶ魚を追い掛けて来たって、

そう笑って言った時はただの冗談だと思ってた。

暫くはそう思ってたし、気にもとめてなかった。



だけど、去年だ。

去年この公園の祭を見た時に気付いたんだ。

｢あぁ、鯉のぼりの事だったのかも｣って。



あの時はミツの話をしてたから猫にかけた冗談だと、

本当に突拍子もない口から出た出任せだと思ってたが、

だけど彼は本当に｢空を泳ぐ魚｣を見ていたんだ。

俺は1年経って彼の冗談の本当の意味を知ったんだ。






だからすぐ、この祭の事だってのは分かった。






この祭は毎年5/3から鯉のぼりを飾る。

その次の日にやぐらとかの準備が始まり、

5/5に子供の日の祭が行われて、

翌日2日間は鯉のぼりを回収して盆踊り大会が行われる。









『ｶｺｯ･･･ﾝ･･･』


藤 ｢ｺﾞｸｯｺﾞｸｯ･･････ふぅー･･･｣









空に魚が泳ぐ日は3日間ある。

そして手紙にも｢期限は思い出に浸るその日まで。｣･･･。

だからその3日間のうちいつだよ！？

ってなるとこかもだけど俺は5日だと確信した。



何故なら彼に会った日も、ミツの命日も5日だから。

鯉のぼりがメインの祭も5日だけ。



うちに手紙が届いたのは間違いなく3日。

終わる時間が分からないその日に、

俺をずっと待ってたとはとても考えにくい。

あの謎を考える時間を与えないって事もないだろうし。



そうなると残るは4日か5日。

この2択なら間違いなく5日でしょ。



あとは肩を並べてって｢どこで？｣ってなるとこだけど、

それはもぉ間違いなく此処だろ。

だって彼の願いに書いてある。






─────────


空を泳ぐ魚を肩を並べて笑って見上げたいです。
今度は水じゃなくてビール片手とかで。


─────────






俺はあの時･･･、1度も隣に座らなかったんだ･･･。






ずっと鯉のぼりに背を向けて立ってた･･･。

だから俺はここの景色を知らないから確めに来たんだ。

もしここから鯉のぼりが見えるなら場所はここだって。

彼はあの時、俺があげた水も持ってたしね。









藤 ｢なんか･･･綺麗だなぁ･･･｣









そよそよと揺れる沢山の鯉のぼり。

彼はあの時不安と後悔でこの景色を見てたんだな･･･。

こんな風に｢綺麗だな｣って思う余裕はなかったんだろうな。

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