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『ウィー-…ン…』
冷房が全然効いてない狭いエレベーター。
前に立つ君の首筋からは汗が垂れていた。
藤 「…」
……色んな意味で逆上せそう…。
視線を上に上げ、階数表示に早く着けと願った。
北 「はい、とーちゃーく」
チンッと音をたて着いたエレベーター。
下りた時の脱力感と言ったら…。
たった数秒、まるで酸素のない場所にいたようだった。
北 「え〜…っと…」
フロアには3、4つほどが部屋があって、
ちょっと薄暗い廊下には所々花瓶に造花が飾られてて、
年季が入ってるのか埃を被ってるのかは分からないけど、
華やか…ってよりは不気味さが増していた。
北 「あ、ここか」
『ガチャ…』
北 「うげぇ〜あぢぃ〜…」
部屋に冷房はかかっておらず、
君は真っ先にリモコンを手に取り、冷房を入れた。
藤 「…」
パッと見はシングルのビジネス部屋。
でもよく見てみれば、
部屋の真ん中にあるシングルサイズじゃないベッド…。
枕元にはティッシュに…ゴム…。
その奥には丸見えの風呂場…。
改めてそうゆう場所なんだと思ったらもぉ見渡せなく、
俺はベッドに腰を下ろし、部屋から目を背けた。
北 「飲みもんとかあんのかなぁ〜?」
『ガチャ…』
北 「あ、あった。何にする?」
藤 「…水」
北 「ん、ほい」
ひんやりと冷えたペットボトル。
暑いばっかの中で麻痺した体に感じる確かな別の温度。
キモチイイ…。
口に含むと温度差を表すようにひんやりと食道を流れた。
ちょっとマジで落ち着こう…
別に君と部屋に2人なんて初めてじゃないし、
こんな気持ちなのは俺だけで…、
君にとっちゃただのイヤらしさがある部屋なだけで、
君みたいに普通に、普通に……
北 「藤ヶ谷っ!」
藤 「?」
北 「ちょ、見てみて!!」
藤 「なに…?」
部屋の扉や引き出しを開けまくって探索してた君は、
風呂場のドアから顔を覗かせ手招いた。
のっそりと立ち上がり傍に行くとジャーンと手を出した。
手には…固形石鹸。これがなに…?
北 「ここ石鹸コレしかねぇ!(笑)」
藤 「え…」
そんなまさか…なんてつられて風呂場を覗くが、
窮屈そうなドギツいピンク色の浴槽に、
ピンク色の透けた椅子が1つだけ……わぁ…斬新……。
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朱蝶(プロフ) - みおみおさん» みおみおサン♪お久し振りです!お元気ですか!?(*≧∀≦*)みおみおさんはいつも、お話を愛してくださるので、こちらの方が幸せです!!有難うございます(*´▽`*) (2017年7月4日 22時) (レス) id: 03a875af6f (このIDを非表示/違反報告)
みおみお(プロフ) - 熱を纏うような気持ちで読みふけりました。大好きなおふたりの作品。読めたこと。。。藤ヶ谷さんと北山さんの二人の空気を壊さぬよう、息を潜めるように読んでいた自分に、すこしてれてしまいました。シンクロするように体温まで操られて夢中で読みました。幸せです。 (2017年7月3日 19時) (レス) id: adbbb5262d (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶサン♪有難う御座います(*^^*)んふふ、そんな細かく色々振り回されて頂き、私とMISA様はニヤリ顔に御座います(笑)いつも私のもMISA様のも沢山のお話を読んでくださり有難う御座います(*^^*) (2016年9月24日 19時) (レス) id: 79dba4bb20 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - って思わせる言葉にニクイねぇ(笑)って♪嫌いだとどうされるんだっけ‥ってトコはうーっっ(萌)って♪夢???現実?ってラストまでドキドキしっぱなしでした♪おふたりの素敵な世界の余韻に浸っております♪ (2016年9月24日 18時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 朱蝶サン♪遅ればせながら‥完結おめでとうございます♪電車でみっくんの腕を引っ張った太ちゃんの気持ちにキュン‥って胸が疼きました‥そこから過ごした二人だけの時間はジリジリした夏の蜃気楼に包まれた世界みたいで神秘的‥。みっくんの可愛さやどっちなのぉ? (2016年9月24日 18時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱蝶・MISA | 作成日時:2016年9月8日 20時