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藤 「そこに30万入ってます」
やっぱり金……
封筒を持つ手が更に震えた。
藤 「コレは最終手段だったのになぁ(笑)」
俺の気持ちとは逆に聞こえる陽気な声。
恐る恐る顔を上げると、先生は笑っていた。
いつものお得意のヘラヘラした顔じゃなくて、
悪びれる様子もないチャラい兄ちゃんのように。
そして新しく煙草を加えて俺に手のひらを差し出した。
北 「……な…に…?」
藤 「火、貸してください?」
ニコニコしてるけどそれは俺の知らない顔で、
俺は驚きを隠せないままジッポを渡した。
火を着け煙を吐き出すと、ニッと笑って俺を見た。
藤 「北山サン、俺が嫌いなんですよね?」
北 「…」
藤 「もぉ関わりたくないんですよね?」
北 「…」
藤 「なら、仕事ならどうですか?」
北 「…しごと…?」
藤 「はい。仕事なら嫌でも相手しますよね?」
北 「…」
藤 「それは賃金です。それで俺の相手してください」
さっきからなんなんだ…?
着いていけない事ばっかで、俺はテンパっていた。
藤 「北山サン?大丈夫ですか?」
北 「こ、こんなのいらないっ!!」
覗きこんだ顔にやっと出た言葉がそれで、
俺は必死に先生の体に封筒を両手で押し返した。
藤 「ソレが無いと相手してくれないでしょ?」
先生は両手を上に上げ受取を拒否し、
また冷たい目で笑って俺を見下した。
北 「な、なんで俺なんだよっ!?
藤 「?」
北 「アンタには他にもいるんだろっ!?なら俺はいらないだろっ!?」
藤 「…」
北 「他の奴にもこうなんだろっ!?」
藤 「いえ?お金を渡したのは北山サンが初めてです」
北 「な…んで……」
藤 「なんで?俺にも分かりません」
首を傾げる先生に言いたい事は山ほどあった。
感情いっぱいいっぱいな俺に先生は微笑んだ。
藤 「ただ、北山サンに恋をしたのだけは分かってますよ?」
その顔は俺が何度も腹を立てた馬鹿そうでマイペースで、
ヘラヘラ笑うおちゃらけた先生だった。
藤 「だから、コレで俺と恋人ごっこをしましょ?」
でも1歩近付き俺の手を包み、
再度封筒を強く握らせて笑った顔は、
同一人物と思えないほど冷たい目をしていた。
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朱蝶(プロフ) - りーりんさん» りーりんサン♪通知が来てなくて、コメント今気付きました(。>д<)ホントにごめんなさい!!そして遅れましたが明けましてですね、今年もどうぞ宜しくお願い致します(*^^*)そしてお話の方も、是非2章の方も宜しくお願い致しますm(__)m (2016年1月15日 6時) (レス) id: 8f5c2f994c (このIDを非表示/違反報告)
りーりん(プロフ) - あけましておめでとうございます!朱蝶さんの作品どれもドキドキわくわくしながら読んでます!藤ヶ谷さんに対する北山さんの態度がだんだんと変化していく様子を見ておやおや?っと思いました!笑 これからも引き続き応援させて頂きます!!頑張ってください!! (2016年1月5日 11時) (レス) id: 49e989fdfb (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - FUKA … xxx さん» FUKA … xxxサン♪明けましておめでとうございます(*^^*)今年も楽しんで頂けるように頑張りますねo(`^´*)ただ今年のこちらの更新はもう暫くお待ちくださいませーm(__)m (2016年1月3日 16時) (レス) id: 8f5c2f994c (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - みちゅるんさん» みちゅるんサン♪あ、2回目気にして頂き有難うございます(゜▽゜*)その2回目がちょっと大事だったりするんです!!鼻が利きますね(*´艸`*)♪今年の更新はもう暫くお待ちくださいませーm(__)m (2016年1月3日 16時) (レス) id: 8f5c2f994c (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶサン♪明けましておめでとうございます(*^^*)そうなんです、2人は似てるけど正反対なんです。でも正反対の方が人は同じより何かを生み出すんですよ(*^^*)今年の更新はもう暫くお待ちください!!(笑) (2016年1月3日 16時) (レス) id: 8f5c2f994c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱蝶 | 作成日時:2015年10月26日 18時