色鉛筆の使いかた。

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ｽﾙｽﾙとｼｰﾄﾍﾞﾙﾄの根元から手が離れたのを見て、

ｼｰﾄﾍﾞﾙﾄを外し車のﾄﾞｱに手をかけた。









北 ｢じゃ、今日はごっそさん｣


藤 ｢あ、北山ｻﾝっ！！｣









車を下りると同時に呼び止められたが、

その呼び掛けに俺は振り返る事もなくﾄﾞｱを閉めた。









北 ｢はぁ…｣









やっと解放された…

荷が下りたような気持ちで足早に家へ向かった。






今日1日なんだったんだろうなぁ〜…






真っ暗な空を見上げため息をついた。

白い息が儚く宙を舞って消えて、

それが貴重な休みの終わりを告げるみたいで、

また1つため息をついた。






それにしても、変な奴だったなぁ…






家に着いてすぐにｽﾄｰﾌﾞをつけ、

やっと自分の1番落ち着ける場所に帰ってきた安心感に、

ﾄﾞｻｯとｿﾌｧｰに雪崩れ込んだ。









北 ｢あ"〜〜……疲れたぁ…｣









うつ伏せのまま、上着に突っ込んだ煙草に手を伸ばした。

帰りの車では吸わなかったから、やっとだ。









北 ｢……あれ？｣









入れた筈の上着のﾎﾟｹｯﾄに煙草がない。

こっちだっけ？なんて、反対側のﾎﾟｹｯﾄに手を入れる。

でもそこにもない。

おかしいなぁー？なんて、

起き上がりﾊﾟﾝﾂも確かめるがない。









北 ｢………まじかよ…｣









店を出る時、確かに上着に入れた。

となると、車の中に落とした…か…。

こんな時に限って予備の煙草もない。

クソッタレっ！！









北 ｢ｺﾝﾋﾞﾆ行きゃーよかった…｣









車に忘れてなくても、

残り少なかったから買うつもりではいたが、

帰りの車でそんな事すっかり忘れてた…。






『後で後悔しないでくださいねー？』






思い出すｱｲﾂの言葉。

……まさかｱｲﾂ分かってた？

いや、それはないか。

ってか、ｱｲﾂ煙草吸わなかったなぁ〜…

やっぱ吸うってのは気を使わせないための嘘だったのか？









北 ｢……｣









なににせよ、とことんムカつく奴だな…

結局、ｱｲﾂの思い通りに動かされたみたいで腹が立つ！！

クソッ！！絶賛後悔中だよっ！！！

でも元はと言えばお前のせいだわっ！！！









北 ｢……はぁ…｣









でもどーせあの時に買わなきゃって、

そぉ分かってても行かなかっただろうな。

1分1秒でも早くｱｲﾂと離れたかったから…。

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