色鉛筆の使いかた。

< 29 > ページ29

.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.*.






変な奴だとは思ってたけど、ここまでとはな。

とんだ博愛主義者だ、俺には理解出来ねぇ。









藤 ｢おかしいですか？(笑)｣


北 ｢おかしいね、それじゃあ堂々とﾁｬﾗ男宣言だ｣


藤 ｢え、ﾁｬﾗ男！？なんでですか！？｣


北 ｢だって恋人を何人も作るって事だろ？｣


藤 ｢いえ、僕は恋人は作りません｣


北 ｢は？｣


藤 ｢特定の誰かはいりません。｣


北 ｢…｣


藤 ｢誰か1人に絞ったら寂しいじゃないですか｣


北 ｢寂しい…？｣


藤 ｢その人居なくなった時1人になっちゃうでしょ？｣









だから愛する人も愛してくれる人も、

周りに沢山居てくれる方がいい。

誰か1人が自分から離れても寂しくはない。

そう言って充実してます。みたいな顔をした。









北 ｢それって身体だけの関係って事？｣


藤 ｢中にはそんな人もいますけど、僕はそこまでは全員に求めてません。｣


北 ｢…｣


藤 ｢普通にご飯だけとか遊ぶだけの人も居ますよ？｣


北 ｢それってただの友達って事じゃね？｣


藤 ｢そうですね、周りから見たらきっとそうです｣


北 ｢…｣


藤 ｢でも僕の気持ちは違いますから。｣









みんなを恋人のように尽くし、大事にしたい。

それで相手が楽しいだの幸せだの言ったら自分も嬉しい。

だから自分からしたらただの友達じゃないと言った。









北 ｢…そんなの自己満じゃん｣


藤 ｢はい。でも好きな人が笑ったら自分も嬉しいでしょ？｣


北 ｢それ…お前ﾎﾝﾄに幸せ？｣


藤 ｢はい。僕は好きな人が幸せなら満足です｣


北 ｢……偽善者｣


藤 ｢はい、だから北山ｻﾝも幸せになってください｣


北 ｢は？｣


藤 ｢僕は貴方に恋をしました。｣


北 ｢…｣


藤 ｢僕に恋しろなんて言いません。ただ…｣









なんて寂しい奴なんだろうと思った。

自分も人の事を言えたもんじゃないけど、

ｺｲﾂもなんか欠落してると思った。

でもきっとソレにｺｲﾂ自身も分かってる。

俺も分かってる、自分が普通じゃない事。

俺らは似てるけど、どこか違う。

背中合わせなんだけど、紙一重で重ならない。









.





藤 ｢少しでもいいので、僕に好意を抱いてください。｣





.









友達としてでいいから、

これからも僕と仲良くしてあげてください。

それ以上は望みませんから。

そう言ってお決まりの笑顔を見せた。

< 30 >→←< 28 >

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す