色鉛筆の使いかた。

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車に乗り込むと、勿論隣はｺｲﾂ。

俺と目が合うとﾆｺﾆｺ笑った。









藤 ｢北山ｻﾝ苦手なものはありますか？｣


北 ｢いや、特に…｣


藤 ｢お肉、お魚、野菜だったらどれが良いですか？｣


北 ｢…肉｣


藤 ｢お肉ですね、結構ｶﾞｯﾂﾘいけます？｣


北 ｢まぁ…｣


藤 ｢じゃあ〜…｣


北 ｢…｣


藤 ｢焼肉！どうですか？｣


北 ｢…大丈夫です｣


藤 ｢はい、決まりー♪ﾚｯﾂｺﾞｰ♪｣









慣れてやがる。

何がいい？じゃなくて、

的確に案を出して、相手に委ねすぎない。

こりゃモテんな。女に不自由してなさそうだな。









藤 ｢今から行く所、僕のｵｽｽﾒですよー♪｣


北 ｢…そうなんですか…｣


藤 ｢あ、煙草って吸いますか？｣


北 ｢あ、はい…｣


藤 ｢じゃあはい、灰皿。吸っていいですよ〜｣


北 ｢いや…、大丈夫です…｣









明らかにこの車煙草吸わなくない？

煙草の匂いしないし…

わざわざ吸う奴のために灰皿置いてんの？

どんだけ完璧なんだよ…









藤 ｢大して知らない人といると息詰まるでしょ？｣


北 ｢…｣


藤 ｢だから遠慮せず吸ってくださいね｣


北 ｢……じゃあ…失礼します…｣


藤 ｢はぁーい、窓少し開けますね〜｣


北 ｢……ｽｩｰ……ﾌｩｩ…｣


藤 ｢んふふ｣


北 ｢…先生も煙草吸うんすか？｣


藤 ｢吸いますよー、たまにですがね(笑)｣


北 ｢へぇ…｣









なんだ、吸うのか。

まじで接客のﾌﾟﾛかと思ったわ。

車中ではｺｲﾂが色々話したりして、

特に気まずい空気にはならなかった。

店に着いても、

あれやこれや俺に聞いて注文をし出すｽﾑｰｽﾞさ。









藤 ｢他になんかあったら頼んでくださいね？｣


北 ｢はい…｣


藤 ｢飲み物どうします？｣


北 ｢えっと…｣









ﾋﾞｰﾙ飲みてぇけど…

ｺｲﾂ車だし、1人で飲むのもな…

ﾁﾗｯと視線を上げるとﾊﾞｯﾁﾘ目が合った。









藤 ｢僕に気にせずお酒でも良いですからね？｣


北 ｢……じゃあ、ﾋﾞｰﾙ…｣


藤 ｢はい。すみませんあと、ﾋﾞｰﾙとﾉﾝｱﾙｺｰﾙﾋﾞｰﾙで｣









気持ちを見透かされたというか、

上手く汲み取られたような気がして、

やっぱｺｲﾂ接客のﾌﾟﾛなんじゃないかと思った。

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