君はソレに気付かない。

君はソレに気付かない。16 ページ16

＜藤side>





自室に籠ってしまったﾐﾂ。





さっきまでのﾐﾂを思い出しながらｿﾌｧｰに寝転がる。





ここにいた。


俺を不敵に誘った小悪魔。






『ねぇ、触りたくないの?』



『ｷｽしたくないの?』



『俺の事、欲しくないの?』






そんな風に俺を誘ってた。


俺はいつも無意識に誘うﾐﾂにオチてたんだ。


それに自覚症状が出てみろよ。


オチないはずがない。


小悪魔が覚醒したようなもんだ。


あそこでﾐﾂが触るなって言わなきゃ、


ここで抱き潰してた。


それぐらい高まった。






だからﾎﾝﾄに生殺し。






あの頃感じた焦れったさと非にならない。


だって、


あの時と関係は違うんだから。


いつだって愛し合える関係になったのに、


俺は自分の出した案に激しく後悔した。






また君に心を奪われた。






気付くのが遅すぎた。


この勝負始めから勝敗は決まってた。


俺が君に勝てるわけないのにね。






この数日感じた焦れったさと、

君への敗北を抱き締めながら俺も自室で作詞をした。

ﾐﾂをこの歌詞で抱くつもりで書いた。






何度も何度も書き直して書いた歌詞。






誘ってるようでﾎﾝﾄは自分が惚れてて、


振り向かせるつもりで自分が溺れていく、


君に無我夢中になって我を忘れて、


振り向かない君に乱れる心と俺自身。







そんな歌詞が少しずつ出来上がっていった。

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