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<藤side>
地下鉄を利用し席に座ると、
次の駅で乗ってきた細身の女性が俺の前に立った。
ふと彼女を見ると手すりを強く握り締め俯いていた。
あれ…具合悪いのかな…?
いやでも、もしかしたら考え事してるのかもだし…
具合が悪いなら席を譲るがいまいち判断に困る…
そんな時、彼女のバッグに目がいった。
藤 「席どうぞ?」
女 「え…」
藤 「具合悪そうなので。」
女 「あ…、有難うございます…」
彼女は席に座るとお腹を擦った。
妊婦さんかぁ。見た目だけじゃ分からないもんだね。
それから15分電車に揺られ、
目的の駅に着き目の前の彼女に会釈をして降りた。
駅の出口まで上がり空を見ると、
つい30分前と違いどんよりと黒い雲に覆われていた。
藤 「うわ、降ってきそうだなぁ…」
空を覗くようにして仰ぎ、
会社までの15分急いで行こうとした時だった。
老 「すみません、」
藤 「え、あ、はい?」
老 「道をお訊ねしたいんですが、この公民館はどう行ったら…」
藤 「えっと…」
道を訊ねてきたお婆さんが持っていた地図を手に取った。
藤 「あっ。お婆ちゃん、これ反対の出口だよ。」
老 「あら…、出口は1つじゃないのね…」
藤 「複雑ですもんね、案内しますよ。」
老 「悪いわねぇ」
着物を着た小柄なお婆ちゃんと一緒に来た道を戻った。
なんでも知り合いの展示会を見に来たとか。
反対の出口を上がり公民館までの道を説明した。
その内に雨がポツリポツリと降ってきた。
老 「ご親切にどうも有難うございます。」
藤 「お婆ちゃん雨降ってるけど着物大丈夫ですか?」
老 「えぇ、置き傘持ってるから。」
藤 「あ、なら良かったです。」
老 「でもお兄さん濡れちゃうわね…」
藤 「俺はすぐそこなんで走っていきますよ。」
老 「あらあら…、じゃぁこれお礼に…」
そう言って俺に500円玉を渡した。
老 「小さい物だったら買えないかしら?」
藤 「えっ、ホント大丈夫です!受け取れません!」
老 「困ったわ…貴方がこれから濡れてしまうと思ったら私この後気になって楽しめないわ…」
だから年寄りの娯楽のためにってお婆ちゃんは笑った。
そう言われてしまうと何も言えない…。
年配の方は言いくるめるのが上手だなぁ…。
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朱蝶(プロフ) - たまちゃんさん» たまちゃんサン♪んふふ、ホント初めましての日課は嬉しいみたいで(*^^*)毎日見守るだけだったので、何かされるって嬉しいでしょうね~(*´艸`*)♪ (2015年7月19日 20時) (レス) id: 8f5c2f994c (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - あぃりすさん» あぃりす様♪素敵な日課が出来ました(*´艸`*)♪毎日ルンルンみつクンです♪にかチャンは…にかチャンはレッツドゥーイン♪ですよ( ̄▽ ̄)b (2015年7月19日 20時) (レス) id: 8f5c2f994c (このIDを非表示/違反報告)
たまちゃん(プロフ) - みっくんの日課ができてうれしいのね〜 (2015年7月18日 20時) (レス) id: 6b828e5d7b (このIDを非表示/違反報告)
あぃりす(プロフ) - 触れなくても頭に手かぁ…太輔サン!惚れてまうやろー(*/□\*)エンジェルミツの日課…素敵な日課か出来たね(*≧∀≦*)あ、ニカチャンはやはり利用しやすい…レッツドゥーイン♪ですな!←ぇ(笑)移行待ってます( ☆∀☆)キラン。ハッピーщ(゜▽゜щ)ウェーイ← (2015年7月18日 18時) (レス) id: afb383c295 (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - あぃりすさん» あぃりす様♪そうなんです!!実は出来る子!!利用しやすい子なんです!!←こらこらww あぃりす様がハッピーなら私もハッピーでやんすヾ(*´∀`*)ノ (2015年7月18日 17時) (レス) id: 8f5c2f994c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱蝶 * hiromai x他1人 | 作成日時:2015年6月15日 20時