０℃の短針と刻む夏。

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＜藤side>






なんかもっと上手い聞き出し方みたいなのないかなぁ。






『たいすけっ』


藤 ｢え、はい｣


『ウシシ♪』


藤 ｢なに…あ…｣









チビは突然パッと姿を消した。

そしてまた違う場所にパッと現れた。









『見える？まだ見えてる？』


藤 ｢え…うん…見えてるよ？｣


『ウシシ♪よっ♪』


藤 ｢あ…｣


『ここだよ♪』


藤 ｢な、なに？急にどしたの？｣


『次はこっち♪』


藤 ｢あ…｣


『こっちこっち♪』


藤 ｢ちょ、はや、｣


『たいすけっ！』


藤 ｢わっ！ﾋﾞｯｸﾘした…｣


『ウシシ♪』









姿を消しては呼ばれ、

見付けてはまた姿を消して別の場所に現れた。

そして最後に俺の腹の上に股がって現れた。

えっと…幽霊の間ではﾒｼﾞｬｰな遊びなのかな…？

人を驚かせる…みたいな…(苦笑)









『太輔！』


藤 ｢んふふ、なぁに？｣


『目が合ってる！』


藤 ｢ん？｣


『ちゃんと合ってるー♪』


藤 ｢？？？｣


『俺の目どーこだっ』









顔を横に向けるから、俺は覗き込むように体を傾けた。









『おぉっ♪目見つかったぁー♪』









そぉ嬉しそうにクルクルと宙を泳いだ。









そっか…生きてる人とちゃんと目が合うなんてないのか。

だから俺が見えるようになって…、

自分を見て貰えて嬉しいんだな。









そのはしゃぐ姿に俺はなんだか微笑ましくなった。

この子が悪いものだなんて、やっぱ思えない。

俺で出来る事ならやってあげたいなぁなんて、

まるで小さい子供を相手にしてるようだった。

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