０℃の短針と刻む夏。

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＜藤side>





どうしよう…





こう言うのって、気付かせちゃいけないもん？

もしﾊﾟﾆｯｸとかにでもなられたら困るし…

俺今逃げられないし…

別に危害とか加えるわけじゃなさそうだけど…

けど、余計な事を聞くのはやめとくか…。









『太輔？』


藤 ｢えっと……あっ！名前、君名前は！？｣


『名前…？ない！』


藤 ｢え…、名無し君？｣


『ななしくん？』









あーーー、これはあれか！？

記憶ないやつだっ！！

生きてた時の記憶ないやつっ！！









『あ、でもみんなにはチビって呼ばれてる！』


藤 ｢み…、いや、チビ？｣


『うんチビ。俺、他の奴等より小さいんだよね』


藤 ｢へぇ…｣









って！！他の奴等って！？みんなって！？

他にもいるの！？ここにいるの！？

チビって犬猫みたいだなぁとか、

思いたいけど思えないんですけど！！

聞きたい！！詳しく聞きたい！！

でも怖いよね！？だって他にもいるんでしょ！？

しかもこの子より大きいのがっ！？









『頭抱えてどした？いてぇの？玉呼ぶ？』


藤 ｢いや…大丈夫…｣


『玉がなんかあったら呼べって言ってたじゃん』


藤 ｢うん…でも痛くないから大丈夫だよ…｣


『ﾎﾝﾄに？』


藤 ｢ﾎﾝﾄに。｣


『絶対に絶対！？』


藤 ｢うん、絶対に絶対。｣


『ふぅ…心配させんなよな。』









心配…か。

そう言えばこの子はいつも心配そうに顔を覗いてたな。

優しい子なんだなぁ。

こんな見ず知らずの俺なんか…

やっぱり色々聞きたい…。









藤 ｢えっと…チビ？｣


『ん？』


藤 ｢なんで俺の事心配してくれんの？｣


『なんでってなんで？』









また質問を質問で返す…(苦笑)









藤 ｢だから…えっと、なんで俺なのかなぁって…｣


『？？意味が分かんない？？』









だよね、俺もだよ…。

なんで俺だけ見えるとか、声が聞こえるとか、

ﾊｯｷﾘ言えばなんで俺に取り憑いたのか、

いや、そもそも取り憑かれたかも分かんねぇけど、

ﾀﾞｲﾚｸﾄに色々聞くのはやっぱ怖ぇな…。

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