声の主は２ ページ8
「る、かわ・・・？」
流「うす」
屋上のそのまた上にある展望台から飛び降りて目の前にいるその人は、まぎれもなく私と同じ富ヶ丘中出身の流川楓だった。
「・・・なんでここにいるの？」
流「昼寝」
「そうじゃなくって！どうして湘北なんかに来たの？流川ならもっとバスケ強いとこ行けたでしょっ？」
流「む。そんなのカンケーねぇ。」
「カンケーなくないよ！強いとこ行ったほうが全国行けるかもなんだよ？湘北なんて全国行けるかどうかあやしいぐらいで・・・」
流「・・・近いから」
「えっ？近いからってだけで湘北入ったの？！」
流「・・・(コクン)」
「・・・ありえない。どんだけマイペースなの？あんたは」
流「・・・」
当の本人は、何が？と言いたげに小首を傾げている。
そうだ。昔から流川はそういう奴だった。
今、目の前にいる流川は、私がまだ富ヶ丘中にいた頃の流川と変わってなくて、何だかちょっぴり安堵した。
変わったのは・・・
背が高くなって、あどけなさが抜けた分だけ男らしく見える。
中学の時も充分大きかったけど・・・
きっと、中学の時以上にモテるようになるだろう。
けど、どれだけ皆が「好き」「付き合って」なんて言葉をこの人に言ったって、その感情は報われることはないんだろうな。
この人にはバスケしか見えてないんだから・・・
不意に、中学の頃の懐かしい記憶を回想しそうになって、私はあわてて意識を取り戻した。
今更過去を思い出したって、楽しい頃の記憶は今を苦しめるだけなんだから・・・
流「・・・先輩。何でバスケ辞めた？」
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作者名：けい | 作成日時：2015年6月5日 5時
