真っ直ぐな想い7 ページ49
「・・・ねぇ」
流「・・・ん」
「何か彩子に弱みでも握られてるの?」
流「・・・ナンデ?」
「だって、流川が他人の頼み事を聞くなんて信じられないってゆーか・・・」
私ちょっとひどいこと言ってる?
流「・・・イヤ、別に」
「・・・でも、流川って他人に興味ないじゃん?」
流「・・・んなこたねぇケド」
「えっ、そうなんだ、意外。興味持ってる人もいるんだ・・・」
・・・そりゃあ年頃の男の子だもんね。
「・・・例えばどんな人?」
怖いけど知りたい。
流「・・・・・仙道」
「・・・えっ、仙道?って、陵南の?」
流「・・・・・ソウダケド」
ブスッとした声が聞こえてくる。
「えっと、ごめん。勝手に女の子の名前想像してたから、何か拍子抜けしちゃった。他には?」
流「・・・・・ヒミツ」
「え、秘密なの?教えてよ」
流「・・・ヤダ」
「・・・何で?」
流「・・・・・まだ言えねぇ」
「・・・何で。あ、でも、まだ言えないってことは、いつかは教えてくれるって事なのかな?」
流「・・・・・ん」
「 ね、何で今はダメなの?」
流「・・・インハイ予選に集中したい」
「あ、そうだよね。ごめん、無粋な質問だったね」
そうだよ。
明日から予選はじまるのに、余計な事考えてられる訳ないじゃん。
流「・・・・・」
「・・・・・」
流「・・・・・」
「・・・・・」
しばらく無言で自転車に揺られていると、家が見えて来た。
「今日はありがと。さっきは本当流川がいて助かったよ」
家に着いて、そう言いながら自転車を降りる。
流「・・・ん。明日迎えにk」
「明日は!来なくて良いからね!」
言いかけた流川に、被せ気味に言う。
流「・・・ナンデ?」
途中で遮られて不機嫌そう。
だけど・・・
「だって、流川は湘北の大事なエースだし、試合に集中して欲しいから。それに、これから彩子に連絡して、ちゃんと明日会場に行くって伝えるから。約束する」
そう言って、自転車に跨がっている流川の瞳を見ると、
「・・・!」
流「・・・」
流川もこちらをジッと見ていて、瞳が合った瞬間ドキンと心臓が飛び跳ねた。
流「・・・・・ワカッタ」
「・・・ん。明日ね・・・」
離れがたい気持ちが湧いて来そうになって、必死で堪えようと下を向いていると、
流「・・・じゃあ明日」
と、ポンと頭を撫でられる暖かい感触がして、胸がキュッと締め付けられたんだ。
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作者名:けい | 作成日時:2015年6月5日 5時