【スラムダンク】like a dream (ページ44)

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真っ直ぐな想い２ページ44

ライブは力強いドラムからスタートした。

ステージの中央でたかちゃんがギターを弾きながら声を張り上げて歌いはじめるとキャアと歓声が湧き起こった。

そしてその様子が、普段学校でおしゃべりするたかちゃんとはまるで別人のような、そんな不思議な感覚にさせた。

ステージで歌っているたかちゃんは、自信に満ち溢れているし、大好きなことをしていて楽しいって思いが体中から溢れ出ていた。

それが単純に羨ましいと思った。

たかちゃんにはあって、私にはないもの。

それは、好きなことは好きだと素直に表現できる真っ直ぐな想いなんだと感じた。

余計なことをあれこれ考え過ぎて、立ち止まりがちな私には足りないもの。でも、本当は表現したいと思っているもの。

だけど、いつもそれをもう一人の自分がジャマをする。

自分でも、つくづく面倒くさい奴だって思う。

小さい頃は素直だったんだけどな。

いつからだろう？
気持ちを表現することに臆病になってしまっていた。

知らない曲ばかりだったけど、激しい曲とかバラードとか色々あって楽しかった。

た「えーと、次で最後です。この曲は、僕の大切な人を想って作った曲です。・・・Begining」

♪ねぇ、はじまりの時を覚えてる？
あの頃は抑えられない想いを
ただただキミに伝えるだけで
それだけで満たされてた

ねぇ、キミも怖がらないで伝えてみて？
想いを言葉にしてみよう
それは僕にとってもキミにとっても
嬉しいことだから

キミの笑った顔がすき
キミの笑った声がすき
キミを作る全部がすき
こんなに想いが溢れてる
だから怖がらないで
キミも気持ちを伝えてみてさぁ

ーーーーーー

「たかちゃん、お疲れさま！はい、これ差し入れ」

ライブが終わって控え室を訪れると、帰り支度をしているたかちゃんだけだった。

た「おーえみ！来てくれてありがとな！」

「ん～ん、こちらこそ誘ってくれてありがと。ライブ楽しかったよ。それにたかちゃんかっこよかった！」

た「さんきゅ」

「あと最後の曲なんか共感しちゃった！自分に重なるところか結構あったっていうか」

た「あぁ。だってそれえみのこと考えて作った曲だもん」

「えっ」

た「うん、あれは俺の気持ち。えみは俺のことどう思ってる？」

そこには普段見せたことがない、真剣な瞳をしたたかちゃんがいた。