キミとの帰り道 ページ41
バスケ部の廃部危機は、桜木軍団や堀田さんのおかげでなんとか免れることができた。
主犯だった三井寿は、安西先生のご厚意でバスケ部に復帰することを許された。
あんなに恥ずかしげもなく、みんなの前で心から泣く男の人を見たのは初めてだった。
それほどまでにバスケが好きで好きで忘れられなかったってことなんだろう。
少し前の私と重なって、何だかほんの少しだけ三井寿の気持ちがわかるような気がした。
看護師「お大事にどうぞ」
待合室に看護師さんの声が届く。
流「・・・・・」
ドカッと音がして、隣の席に流川が腰かける。
「・・・どう、だった？」
頭に巻かれた包帯を不安に思いたずねると、
流「・・・大したことねぇって」
そう、いつもの調子で答えが返ってきて少しホッとした。
「そっか、良かった」
流「・・・・・・」
「あ、あのさ。お家の人には本当のこと言わない方がいいと思う。本当のこと知ったら、みんなきっとすごく心配するだろうし・・・」
ちらりと隣に視線を送る。
流「・・・・・ん」
まだ頭がボーッとするのか、いつもよりも少し鈍い反応で返事が返ってきた。
「じゃあ、帰ろっか」
ーーーーーーー
「それじゃあ、今日はゆっくり休んで」
結局心配で家まで送りに来てしまった。
久しぶりに見る流川の家は、2年前と何ら変わりはなかった。
「もし明日になって頭痛いとかあったら、ちゃんと病院行ってね？」
コクンと頷く流川。
「それと、無理して部活出ちゃダメだからね」
「えっと、それから・・・・・！」
流「・・・・・」
急な出来事にただただ驚いた。
流川がその大きな手で私の右頬に触れたから。
「る、かわ？」
流川の行動に戸惑っていると、
流「・・・守ってやれなくてスマン」
確かにそう言ったんだ。
「えっ」
流「・・・んじゃ」
そう言うと、流川はスタスタと家に入っていってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：けい | 作成日時：2015年6月5日 5時
