試合の後で ページ32
赤「田岡先生、今日は本当にありがとうございました」
田「赤木くん、今度は地区予選で会おう」
一方でそんな話をしている時、
仙「よぉ」
もう一方では、仙道が流川に向けて右手を差し出していた。
流「・・・次は負けねー」
1人メラメラと闘志を燃やす流川は、仙道が差し出した手をペチッと叩いた上に、そんなことを言い放ってスタスタ歩いて行ってしまった。
結局、陵南に負けてしまった。
皆んなよく頑張ったけど、陵南が、いや仙道が一枚上手だった。
仙「つれないなぁ流川は。ねぇ、あいつっていつもあーなの？」
仙道は、たまたま近くで様子を見ていた私に声を掛けてきた。
「まぁ・・・そんなとこです」
仙「ふ〜ん。あ、ねぇキミ、本村えみちゃんでしょ？」
「えっなんで名前知ってるの？」
仙道が私を知ってる事に驚いた。
仙「あ〜やっぱり。そうじゃないかと思ってたんだ。おととしの全中優勝ん時の富中メンバーでしょ？同い年だよね？」
「よく他のチームのこと覚えてますね」
仙「だって俺決勝見てたもん。バスケ上手いし、かわいい子いるなぁって覚えてた」
仙道にニコッと微笑まれて、どう反応したらいいのか困る。
「・・・」
仙「ハハッ、照れてるかわいい」
いや、照れてるんじゃなくて困ってるんです。
なんだか面倒くさい人だなぁ。
そんなことを考えていたら、不意に背後から声が聞こえた。
流「先輩、電車・・・」
ついさっき先に行ってしまったはずの流川の声だったから思わず振り返った。
あ、ほんとに流川だ。
わざわざ電車の時間を教えに来てくれるなんて、珍しいこともあるもんだと、まじまじと流川の顔を見上げると、私を見下ろす流川と目が合った。
「！」
流「電車の時間・・・」
「あ、うん。帰ろっか」
流「・・・(コクン)」
「あ、仙道くん。そういうことだから。バイバーイ」
愛想のない言葉と表情を仙道に向けて、くるりと方向転換。
仙「あっ、待って」
「・・・(面倒くさいから無視！)」
チラリと横目で隣をうかがうと、相変わらずの無表情があった。
ほんとこの人は何を考えてるんだかわからん。
そう思いながら、みんなが待つホームへと急いだのだった。
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作者名：けい | 作成日時：2015年6月5日 5時
