EP5 ページ5
Aには分かっていた。キムテヒョンという男は優しい。責任感も強い。だからこそ、BTSのせいでAのグループがデビューできなくなってしまったことを申し訳なく思っているのである。彼はそういう人間である。
しかし彼のそういうところがAを苛立たせた。BTSが悪いのではない。むしろ彼らの歴史的快挙を喜んで祝うべきだとはわかっている。だからこそ、偉業を成し遂げたことを素直に喜ばないテヒョンに腹がたった。自分の不幸の上に成り立つ幸せをありがたく受け取らないテヒョンが無礼に思えた。
BTSが成功したのは自分たちのグループがデビューしなかったからというわけではないことを頭ではわかっているものの、なんとなく腑に落ちないでいた。
確かその日、芸能人御用達だというその店の一室でテヒョンとサムギョプサルを食べたその日に、Aは22歳の誕生日で事務所を辞めようと決意を固めたのである。そしていつも通り、少し申し訳なさそうに肉を焼き兄貴分らしく振る舞うテヒョンを前に、普段外ではあまり酒を飲まないAも飲まずにはいられなかった。
気付けばタクシーに放り込まれていた。
「ちゃんと帰れよ。今日は早く寝な。」
Aは礼を言おうとしたが声がかすれて出なかった。するとテヒョンはわかったように眉を下げ笑顔で頷くと運転手に合図し、タクシーはぬるりと発車した。
家に帰り、化粧を落とそうと洗面台の前に立ったとき、A鏡を見てギョッとした。映っていたのは明らかに泣き晴らした目をした自分だった。そういえば本格的に酒が回ってからの記憶が全く無い。そもそも、Aには潰れるほど酒を飲んだことなど今までになかった。
「私、泣き上戸だったんだ…」
まだアルコールの残る頭ではその程度のことしか考えられず、その日は化粧を落としてすぐさま倒れるように眠りについた。
『あってほしい人がいるから。絶対来いよ。この前介抱してあげたお返しだと思って』
今のAにはテヒョンの考えが全く読めなかったが、返事は決まっていた
【了解です】
それだけ返信すると、Aは頭から布団を被った
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sho.kano0129(プロフ) - テヒョン見たさに花郎を見たらパクソジュンにオチました笑 いろんな作品を観てるところです( ´罒`*) (2022年1月25日 18時) (レス) @page6 id: 9f4af29832 (このIDを非表示/違反報告)
れんか(プロフ) - 私もパクソジュン大好きです!サムマイウェイとキム秘書はが好きです! (2020年3月5日 19時) (レス) id: 544d37e9a7 (このIDを非表示/違反報告)
Ichigo__milk(プロフ) - 私はパクソジュンめちゃくちゃ好きですよ!! 特に好きなドラマは、彼女は綺麗だったです! 続きがすごく気になります! 頑張ってほしいです! (2020年3月2日 1時) (レス) id: 3cb8470d02 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:YNP | 作成日時:2020年2月17日 1時