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階段から軋む音が聞こえる。キシキシと感覚的な音が近付いて来るような感覚がした。そして降りて来た人物はマルガレッタだった。
「おはよう。2人とも…仲がよろしくていいわね」
「おはよう、マルガレッタ。手伝ってくれ」
「いいわよ。けれど…先に顔を洗ってきても?」
「どうぞ」
洗面台に行ったマルガレッタをシャルルは目で追って、直ぐ様まな板に視線を戻した。その隙にナポレオンはキッチンという領域からそっと抜け出そうとしていたのだ。
「おい」
「チッ……なんだ」
「最後まで手伝わないと卵焼きは増やないぞ」
「…………………………チッ」
流石に誘惑には勝てなかったのかナポレオンの抵抗が弱まった。そしてマルガレッタもキッチンに来て、3人での作業となった。
現在時刻は朝の午前5時50分。この時間になり窓を見れば朝日は漸く顔を出し、夜明けの世界を照らしていた。そしてこの時間帯にもなれば起きてくる人物も増えていく訳であり……
「Guten Morgen. くぁ…もぅ、寝たのに眠いわ…」
「おはよう諸君!!!俺様は久し振りに目覚めがいいぞ!!!!!」
「アンタ…ホントうっさいわね」
「?」
「おはようございまーす……」
「ぉ、はぁ…………よぉ………くぅ………」
「はっ、アンディ!」
「……………ゴニョゴニョモニョモニョ…」
「あー……目覚めさせてきます…」
「いつもこの辺りの時間だとヨハンやアレクサンドロス、アンデルセン、ショパン辺りは起きて来るな」
「段々と起きてくるからいいんでしょうね。けど起きない人達もいるわよ」
「だから一部屋2人制にしているのにな……」
シャルルはナポレオンを見やると半ば諦めの様な、憐れんだ様な目を向けた。それに気づいたのかナポレオンは眉を顰めてシャルルを見上げた。
「なんだ」
「ヴァスコとは上手くやれよ」
「絶対にイヤだね」
「…………まぁ、ぼちぼちだな。おいアレク 2階の奴ら皆起こせ」
「あ?…あー!!!いいぞ!!!!!!!!」
ドカドカと歩くアレクサンドロスだが、階段の床がミシミシ言う音にもう少し静かめに歩けないのか、と思ったが次の瞬間…耳かきで深く入り過ぎた様なあの痛みと同格、否…ほぼそれを超えた様な声が耳を突き刺した。
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