山風家の一年間。その1 (ページ4)

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緑のドアを出ると、その隣の暗い心も照らしてくれるライトような真っ黄色のドアの前に次男は立ちます。

「…よし。」

コンコン

ちょっと気合いを入れ直した次男はやっぱり遠慮がちにノックしました。

「和ー、入るよ？」

そぉーっと入ります。

変に音を立てて起こすと怒っちゃうからです。

怒るのは次男にではありません。

三男に怒ります。

いい迷惑です。

勿論、三男のことは大好きなのです。

でも、ゲームの時間を割いて寝る貴重な睡眠時間だから、寝起きはすっきりしておきたい。

そんな、考えを持つ四男。

寝起きをすっきりするには、

次男に起こしてもらうのが一番効果的。

トントン

布団の中で丸まった四男を優しく叩く次男。

「…かーず。朝だよ。」

「…翔にぃ？」

「うん。ほら、起きて。今日はまだ、潤起こさないといけないから。」

一個違いの四男と五男は、毎朝どっちが先に起こしてもらうかが大切らしいです。

翔にぃに先に来てもらうのが嬉しいのです。

日替わりで、平等にしてくれているとはつゆ知らず…。

潤起こさないといけないから。

その言葉だけで、勘のいい四男は
今日は自分が先だった、

ということを悟ります。

「そうなんだ。じゃあ、起きなくちゃね。」

「うんうん。ありがと、和。」

「…じゅ、潤は起こすの苦労するもんね。」

勘が鋭い四男は、次男からの

ありがとう

に弱いのです。

「ふふ。じゃあ下行ってて。

さと…しくんが待ってるから。」

さとにぃ、と言いそうになったのは次男だけの秘密。
四男には、気づかれていません。

さとにぃ、と呼んでいたのは次男が小１の時まで。

弟達は智くん、と呼ぶ次男しか記憶がありません。

長男と次男の秘密。

長男は弟達に自慢したくて仕方がありませんが

次男に嫌われたくないので言いません。

ちなみに言うと、四男は今日から高校三年生です。

さて、最後は末っ子。

「…ふぅ、あとは潤。」

本日二回目の気合いを入れる次男です。