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「殺してやらないんですか」





通信を切ったAに、聖がそう尋ねた

廊下に転がる男達。この中の異能者はAが相手をした一人だけだ。その他六人は聖の異能により気絶。そして異能者の男も気絶していた

Aはきょとんとして、小首を傾げて云う





『だって、死にたいからこの仕事受けたんだろうし?』


「うわぁ…」





詰まり嫌がらせである。

Aに闘いを挑む時点で負けは確定している。だから歯向かう奴は何かの事情で "殺されたい" と思っている者であり……

まぁ今回の計画を立てたこの組織は恐らく本気でAを殺す心算だった莫迦なのだが、この異能者は雇われただけである





『この人にとっては「生きてる」方が地獄だからね。別に情報なんていらないから拷問も尋問もしないけど、ただただ「生きる」を繰り返してもらう』





聖は本気で引いた。彼女の言葉から、陽の光も当たらない狭い部屋が一瞬で思い浮かんだからだ

何も無い部屋。刑務所よりも非道いのではないか?





「キレてた理由は?」


『私の教え子に手出ししたからー』





異能者の男の上に乗って、男の携帯を操作し乍ら間延びした声で答える

聖は再び安堵の息を吐いた。自分に怒っている訳ではないと先刻解っていたのに。





『ごめんね、此方任せちゃって。私の人選ミスです』


「え、じゃあアンタの所為じゃねぇか」


『だからそう云ってんじゃん謝ってんじゃん』





ごめんって、ともう一度軽く謝ったAは考える

彼女はミスをした心算はなかった。狙撃手は三人も居たし、距離的に今の聖の視力では対象を捉えられない



でもなんでだろうなー、やっぱり緊張していたのかな



なんてぼんやり思い乍ら携帯を仕舞うと、一つ思い当たった

此処に転がっている無能力者達。もしAが此方を担当していたら、異能者の男との戦闘に集中してしまって探偵社への侵入を抑えられなかっただろう

まぁ探偵社諸君が無能力者相手にやられるなんて考えられないが、抑もこれはAの問題。貸しを作ってしまう





『…やっぱりミスってなかったかも』


「どっちだよ」





死にかけたんですけど、と自分を指差す聖に向けて、Aは自分の携帯を突き出す

そこにはタイマー。残り01:36:53。





『間に合うと思う?』


「……いける」


『じゃ私は無理ね。何賭ける?』


「明日の……健康的な三食」


『あっはっは!そこで仕事頼まないのが聖らしい!』





慥かに。



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夢蝶蘭(プロフ) - うさぎさん» うわー!その通りです…ご指摘ありがとうございます!いつも更新遅くてすみません(><) 頑張ります! (2019年2月9日 1時) (レス) id: 6710be5598 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - あの、「248話」の15行目が「早く食べないよってこと」になってますよ〜!多分「早く食べなよってこと」ですよね?もし私が間違っていたらすみません。続きのお話、楽しみにしています! (2019年2月8日 23時) (レス) id: fab1d5b1bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢蝶蘭 | 作成日時:2018年9月13日 23時

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