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だから。
彼女が泣いたから。
当時は俺にとって、自分を救ってくれた恩人だったけれど。
叫ぶように、泣いていたから。
間に合わせられるように反射神経を鍛え上げた
「
百パーセント確実に、
俺は屹度、彼奴を一生赦さない
良かったと、心の底から思う
ドストエフスキーを攻撃しようとした時。彼女は奴を殺そうとしていた
だから俺が止めに入った時、俺はもっと大怪我をする筈だった
あの場で瞬時に動いたのが俺で良かった。何も知らず、ただ「危険」と感じた太宰さんが、もし動いていたら。
自惚れじゃないけど、俺以外だったら大怪我を…もっと酷いことにも、なっていただろう
Aが聖の手にハンカチを巻く。悲しそうな顔で。
気にするなと云っても、彼女は気にする
聖を鍛える為に付けた傷じゃない。「自分の所為で付いた傷」だから。
だから聖が「痛いよ」と云うと、Aは顔を上げた
「痛いよ。直ぐ治るけど痛いし、浅いけど傷であることに変わりはない」
聖は自分の右手を見る。Aのハンカチが、少し赤く染まっている
「…痛いの嫌いだけどさ。「痛い」ってことは、「生きてる」って証拠だろ?」
そう笑った聖を見て、Aは目を見開いた
貴方も同じだろ?貴方に刃は通らないのに、貴方が怪我をする理由はそれだ
生きてると、感じたいからだ
少しして視線を聖の手に戻し、ハンカチを結び終える
そして聖の手を叩いた
「痛った!」
『帰る』
立ち上がって歩き出したAに、聖はきょとんとした後、声を出して笑う
聖の後ろに司馬が一瞬にして現れた
「大丈夫そう?」
「まあな。挨拶しなくて良かったのか?」
「異能で何時でも会いに行けます〜」
「あれ?喧嘩売られてる?」
二人の会話に反応した太宰が司馬に手を振った。フィッツジェラルドは頑張って彼の名前を思い出そうとしている
立ち上がった聖が太宰に云った
「太宰さん。ドストエフスキーの異能を見たことありますか?」
「…いいや」
眉間に皺を寄せる聖。気味の悪い、魔人が笑った口元を思い出した
「…人伝に聞いただけですけど、誰にも奴を触らせなかったAさんの判断は正しかった」
"奴は触れただけで瞬殺できるだろうから"
聖はそう云って司馬に触れる
簡単に挨拶をして、二人は消えた
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夢蝶蘭(プロフ) - うさぎさん» うわー!その通りです…ご指摘ありがとうございます!いつも更新遅くてすみません(><) 頑張ります! (2019年2月9日 1時) (レス) id: 6710be5598 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - あの、「248話」の15行目が「早く食べないよってこと」になってますよ〜!多分「早く食べなよってこと」ですよね?もし私が間違っていたらすみません。続きのお話、楽しみにしています! (2019年2月8日 23時) (レス) id: fab1d5b1bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢蝶蘭 | 作成日時:2018年9月13日 23時