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『……手錠はかけなくていいです。誰も彼に触れず、連行してください』


「は………はいっ」





溜め息を吐いて諦めたようにAが云う

魔人の近くに居た者が返事をし、特務課が再度銃を向けた





「妙な動きがあれば即射殺します」


「ええ、行きましょう」





魔人が両手を頭の後ろにやり、立ち上がる

そして歩き出しはせず…少し睨んでいるAに微笑みかけた





「またお話しましょう___」





…聖には、判った。魔人が続ける言葉を、彼女に聞かせてはいけない

急いで地を蹴る。早く、早くAさんの耳を塞がないと。目を塞がないと。

___くそっ!





「………палач(パラーチ)





凄まじい、殺意。一瞬にしてAから放たれた

Aは自身の右腕が刀であるかのように構える。事実、彼女の右腕は彼女の意志とは裏腹に(・・・・・・・・・・)刀と化していた

Aのスピードには誰にも適わない。このままドストエフスキーは殺される___そう思ったが。



彼女は止められていた。視界を塞がれ、包まれるようにして。

聖が間に合ったのだ。左手でAの目を覆い、右手は刃と化した彼女の右腕を封じる。聖の右手から、鮮血が滴る



聖が魔人を鋭く睨んだ





「ッ…………お前……!」


「おや残念………矢張り優秀な番犬ですね」





魔人は嗤い、背を向けて歩き出す

戸惑っていた周囲の特務課員も安吾の指示を受けて歩き出した

安吾が「先に行っています」と聖に伝え、後を追った





「!」





ガクンッとAの膝が折れ、二人して座り込む。聖は堪らず、身体を引き寄せた





「大丈夫。大丈夫です。息吸って…………深呼吸して」





云われた通りにAは深呼吸する。吐く息が、震えている





『ひ………ひ、じ……………』


「はい。此処に居ます。大丈夫」





Aが、自身の目を覆っている聖の手に触れる。Aの手は震えている

聖がそっと、ゆっくり手を離した

二人の目が合う。安心させるように、聖は微笑んだ___が。





「え?」





視界。

反転。

胸倉。

掴まれ。

あっ、

倒される。





「痛っ…!?」





背中に衝撃。

聖はAによって押し倒されていた

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夢蝶蘭(プロフ) - うさぎさん» うわー!その通りです…ご指摘ありがとうございます!いつも更新遅くてすみません(><) 頑張ります! (2019年2月9日 1時) (レス) id: 6710be5598 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - あの、「248話」の15行目が「早く食べないよってこと」になってますよ〜!多分「早く食べなよってこと」ですよね?もし私が間違っていたらすみません。続きのお話、楽しみにしています! (2019年2月8日 23時) (レス) id: fab1d5b1bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢蝶蘭 | 作成日時:2018年9月13日 23時

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