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彼女が眼鏡に触ってくる
ああ…もしかして、これを見たから泣いてしまったのだろうか
泣くくらいなら俺から離れないでほしかった。せめて電話にくらい出てほしかった
…否、こうすると俺の視力が落ちたのはAさんの所為ってことになってしまう。やめよう。
抑も俺は眼が良かったが、暗い中PCを触ることも多々あったし…まぁ、俺の日常的に視力は落ちていたんだ
そこからの今回だったから、眼鏡を掛けるようになったのは当たり前と云えば当たり前だ。Aさんが気にすることはない
でもこの人は結構頑固。俺が気にするな、と云っても、ああ云えばこう云う状態になるから、好きなだけ謝らせるが吉。
謝られたら返事をして、を繰り返して、彼女は最後にこう云った
『結構似合ってるよ』
反省してんのかなぁって思った。
先輩と遼には笑われましたけどね、と云うと、Aさんも笑って隣に座った
『ありがとうね』
「…いいえ」
『周ちゃんにもお礼云わなきゃ』
「怒られるのも忘れないでくださいね」
種田長官から聞いたんだろう。俺と先輩が連れ帰ったことも、その経緯も。
俺達は、夜中の内に「あの状況でボーヴが怪我をする場面」を考えられなかった
俺は視力検査とかの関係があったから碌に参加できなかったけど、遅めの朝食を摂ってから先輩に如何なったか訊きに行ったら、「無事に決まったけど内容はお楽しみ」と云われた
そして先輩に呼ばれて医務室に行くと、何とボーヴが無傷で眠っていた。声にならない声を上げて何度見したことか。
長官が福沢社長に頼んで、与謝野晶子の異能で治してもらったらしい。結局、怪我をさせる方法は思い付かなかったらしい
下手な嘘を吐かなくて良かった。って、その前に、Aさんは何で倒れてたんだ?
『催眠瓦斯に堪えられなくて焦ったんだけど、お陰でよく眠れたよ』
んー、とAさんは伸びをする。え?今衝撃的だった
「催眠瓦斯?Aさん、絶対眠らされるって判ってましたよね?何で行ったんですか?」
『あれ?否、その前に何で催眠瓦斯のこと知らないの?瓦斯、充満してたよ?現場行ったんでしょ?』
「……先輩の後に合流したので…先輩が窓、開けてくれてたんです」
彼女は『そっかぁ』と笑った
あっっっぶな。下手したら話が食い違ってたな。怖っ。
怒ろうとしたけど、まぁいっか。種田長官に散々搾られたんだろうし、先輩にもこれから叩かれるだろうし
俺はこっそり同情した
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夢蝶蘭(プロフ) - 知佳さん» わざわざありがとうございます!是非使わせていただこうと思います! (2020年5月18日 23時) (レス) id: 6710be5598 (このIDを非表示/違反報告)
知佳(プロフ) - 横浜の街のタワーは、展望台になりますが、マリンタワーというのがありますよ♪ (2020年4月4日 0時) (レス) id: 3e74e0ac2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢蝶蘭 | 作成日時:2018年4月2日 23時