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特務課内で携帯のGPSを最速で特定させられる人物を俺は知っている。だがその人には頼れない。今回の件の構成員ではないからだ

Aさんが絡むだけでこんなにも仕事が遣りにくくなる。特務課の仕事を手伝ってるんじゃなくて、本当は邪魔してるだけなんじゃないか?と、これまで何度も思った

まぁでも、あの人が絡むと仕事量が減るのは慥かだから文句は云わない。しまった脱線しすぎた



話を戻して、今回の構成員(メンバー)の中で一番手っ取り早く調べられるのは一人だけ

俺は今その人に電話を掛けている。三回の呼出音の後に繋がった





《何かあったか?》


「すみません、目を離した隙に消えました。Aさんの携帯のGPSを特定してください」





電話に出たのは、Aさんに "周ちゃん" と呼ばれている遠藤周作だ

先輩、なんて呼んでるけど、実際には俺の先輩じゃない。殆どの人が呼んでるからそう呼び始めただけ。



とまぁこのように、俺が昔を少し振り返ることが出来るくらいの時間、先輩は無言だった。俺の言葉に固まってるのが判る

こっちは急いでるんだ、早く動き出してくれ。そう思って口を開いた時、ガタガタッと音が聞こえた。続いて扉を開く音。小さく聞こえるのは…走っているのか、足音だ





《おま、莫迦!ほんと莫迦!何年彼奴の傍に居たんだよ俺の記憶を疑うわ!!》





幾ら莫迦と云われても否定できない。抗議もしない。本当、何年あの人の傍に居たんだ俺。側近だったろ。





《久々に傍で話せたから弛緩したか!?》


「あ、多分それです」


《ほんと彼奴のこと大好きだなお前ッ!!》





否定しない。





*





一方、その頃。





(何でAさんが聖を…あ、そう云えば、彼奴が途中で何処かに行ったって部下が文句云ってたっけ)





記憶を遡れば脳内で再生されるこんな泣き言。「司馬さぁん!神楽坂さんがまた消えましたぁ!一言云ってくれても良いだろあの餓鬼!」

…まぁ最後の言葉は気にしなくて良い。第一、部下の方が歳上なのだから敬称敬語なんて無用なんだ

でもそうか…Aさんが絡んでたら下手なこと云えないよな



状況を聖に聞こうと電話したが通話中。

如何したものか。面倒なことに巻き込んでくれたなぁAさんも。否、自分の異能を恨もう。お陰で未だに運転免許は取らずに済んでいるが。



俺は特大の欠伸を零してインカムを取り出し、呼出釦を押した



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夢蝶蘭(プロフ) - 知佳さん» わざわざありがとうございます!是非使わせていただこうと思います! (2020年5月18日 23時) (レス) id: 6710be5598 (このIDを非表示/違反報告)
知佳(プロフ) - 横浜の街のタワーは、展望台になりますが、マリンタワーというのがありますよ♪ (2020年4月4日 0時) (レス) id: 3e74e0ac2c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢蝶蘭 | 作成日時:2018年4月2日 23時

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