05＊差し込む光 ページ5
まずは個人から撮影に取り掛かる。
僕がトップバッターだった。
少しふらつく身体を誰にも気付かれないようにしながら踊り続ける。幸い一発OKだったため、皆の撮影が終わるまでは隅の方で休む。
あれからどれだけ経ったのだろう…
どんどん火照っていく身体と、痛み続ける頭に気が遠くなりそうになった時、トゥギヒョンの全体の通しを始めるから集合！と声がかかる。
立ち上がるのも辛いほど、身体が悲鳴をあげていたが、楽しみにしてくれているファンのことを考え、必死に身体を動かし撮影に集中する。
僕のソロダンスに差し掛かった時、急に身体から力が抜け、だんだんと音楽が遠ざかって行く。
それをわかっていてもどうすることもできず、
気付けば目の前が真っ暗だった…
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薄暗く誰もいない場所に僕はいた。
誰もいないことに焦りを感じる。
どんなに叫んでも、どんなに歩いても
返事なんてないし、誰もいない…
焦りと不安から無意識にドンへを捜している僕。
ドンへは僕から離れたりしない。
どこにいるんだよ…ひとりにしないでよ。
自分の中でどれほどドンへが大きい存在なのか気付かされた。それは、友達としてなのか、仲間としてなのかはわからないけれど…
疲れ果てて諦めかけた時、目の前が光り誰かが手を差し伸べてくれている。必死に腕を伸ばすのに何故か届かない誰かの手…
…ヒョク…ヒョク！
どこからか聞こえてくる聞き慣れた声に僕は声を荒げ叫ぶ。
少し見えた誰かの表情は、ドンへに似ていて僕は力を振り絞って手に触れた瞬間、辺りの景色が明るくなった……
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作者名：さやとぅく | 作成日時：2012年8月16日 18時
