目が覚めたらモフモフ兄弟が居たんですけど… (ページ20)

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第17話【チョコレートの香り】ページ20

寒い…とてつもなく寒い…

赤くてチリチリと痛む指を手で摩りながら、白い息を吐く

貴「バレンタインなのに…最悪よ」

ブランコに腰掛けたまま、ピンク色に光る街を横目で見つめる

まったく、チョコあげようとしたんだよ？

あれは無い、絶対に許さない

でも……

貴「早く仲直りしたいな…なんて」

『じゃあさっさとしちまおうぜ、A』

貴「！？その声ｯ…ドフィ？」

ド「女1人が暗い夜道に突っ込むんじゃねぇ」

貴「あなた達が悪いのよ、バカ」

ド「黙れ」

な、なんで怒ってんのよ

明らかに眉間にシワが寄っているドフィを見上げていると、力強く抱き締められた

ド「お前に何かあったら…俺は、…」

貴「ドフィ…」

ーパサッ…ー

不意に私の身体に纏わる黒色のコート

心配そうに見つめてくるロシー

あぁ、こんなにも守られてるんだなって思ったのは久しぶりで…涙が出てきちゃった

ロ「[かえろう]」

貴「うんｯ…ごめんなさい」

ド「俺等も悪かった、だから泣くな」

子供みたいに手を繋ぎ合って、みんなで笑いながら家へと帰る

独り立ちしてから、暫く会えてない両親が頭に浮かんだ

貴「ほら、ハッピーバレンタイン二人共」

ロ「…？[あたたかいココアか]」

貴「残念、ショコラよ」

ド「ふふｯ、嬉しいじゃねーか」

貴「まぁ、嫌いじゃないから…一応よ一応」

素直じゃねーな、と美味しそうに飲む二人を見て微笑む

暖かい背中に寄り掛かって赤い頬を必死に隠した

音楽家ショパンが愛したショコラ

それを作っていたのは恋人

私にもそんな人が出来るのかな…

貴「ふぇっくしょいｯ」

ロ「[ほらみろ、カゼひいた]」

貴「うるさいわね！！」

また賑やかになる我が家を考えたら、まだ作らなくてもいっかと思った自分でした