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・
やっぱり
嬉しくなかったか。
可愛げないなあ…私。
・
「はあ…」
・
お風呂の中でため息。
ぶっきら棒に渡し過ぎてしまった。
使ってくれないよね、きっと。
・
「でよ」
・
お風呂をあがり
泉奏がいる元へ
・
「あ」
「なんですか?」
「使ってる」
「当たり前じゃないですか」
「嫌だったんじゃないの?」
「需要があるので」
「まあ、そうだけど」
・
早々と走るペン先を
眺めていた。
・
「ねえ」
「はい?」
「…ありがとう」
「何故貴方がお礼を?」
「え、だって
使ってるから」
「お礼を言うのは俺です。
先程はちゃんと言えなかったので」
「…」
「ありがとう、Aさん」
・
不覚にも
不覚にも、
頬が緩んでしまった
そして
・
「頬、緩んでます」
「うるさい」
「素直になればいいのでは?」
「貴方に言われたくない」
「お好きにどうぞ」
・
やっぱりなんなの。
不覚にも嬉しく思った
自分が
ばかみたいじゃない。
・
「じゃあ
俺も風呂に」
「はいはい
いってらっしゃい」
「口尖らせてると
可愛げないですよ」
「うるさい!」
「俺は静かです」
・
なんなの!
俺は静かです。
じゃないよ、本当に。
ペンが置かれたテーブルを見て
・
「一瞬でも使ってるところ
見れてよかった」
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作者名:Chii | 作成日時:2017年10月10日 11時