八十五話 ページ5
焦凍side
Aは体を横にして、何度か激しく
咳き込んだ、太宰さんはAの頭を
自身の膝に置いた。彼は僅かに
震えながら、Aを見つめていた
そして、震える声で
太｢駄目だ、死ぬな｣
と繰り返していた。太宰さんは、
オダサクと云う人を目の前で
亡くしている。オダサクさんは
Aが、とても懐いていた人だった
その人と重なって見えるんだろう
『にぃ……さ……』
掠れた声で小さく、太宰さんを呼ぶA
太宰さんの顔にはAの返り血が
着いていた。Aはそれを、
涙と共に拭おうとしたが、ぴたりと
止まった。『血が着くから、拭えない』
そう云って。太宰さんは顔を歪めて、
躊躇わずに、血に染まった手を掴んで、
自分の頬に添わせた
『ごめんね、兄さん。もう……』
『与謝野さんを呼んでも意味がない』
そう、悲しげに呟いた
太｢……何故置いて逝くんだい？
何故私を庇った？｣
下にあるAの顔をやや睨みながら、
涙を惜しみ無く流しながら、
太宰さんは云った
『理由なんて……一つしかないさ……』
返答は至って
その時、初めてAは穏やかに笑った
『生きていて欲しいから
それだけだよ………』
穏やかに笑うAの目尻には涙が
光っていた
『ねぇ、兄さん……、皆に｢ごめん｣って
伝えてくれるか……？』
自身の遺言を頼むAの顔は酷く
穏やかで、嗚呼、彼女は死ぬのか、と
あっさりと気づいてしまった
姉さんや夏兄は、泣いていた
俺も視界が歪んでいるから、
泣く寸前なんだろう。クソ親父は俯いて、
手を目元に置いていた。俺たち家族は、
誰も何も喋らなかった
太宰｢……………｣
唇を血が出る程噛む、太宰さんの顔は
苦しげで、悲しげだった
『……ごめんなさい……』
小さく、そう呟いた
誰に向かっての謝罪か
はたまた、嘗ての
『愛してるわ………行人さん………』
太宰｢！｣
｢｢｢｢！｣｣｣｣
ことん、と力が抜けたAは
微笑みながら、その命を喪った
なんて、穏やかな死に顔だろうか
最期に呼んだのは、最初にして最後の
最愛の恋人____ユキトさんだった
ふと、視線を外すと白い花が目に入った
今の
途端に視界が真っ暗になった
最初の黒い霧の中に居るような場所だった
『……これで全部だ』
静かな声が辺りに響いた
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ユウ - 面白いですね! 続き楽しみにしてます! (4月15日 0時) (
レス) @page11 id: 65d421c831 (このIDを非表示/違反報告)
メイデーア - 2の方に書きましたが、此方にコメント書いておきますね！私の最推しは綾辻先生なんでお相手が綾辻先生だということがとても嬉しいです。作者様、更新頑張ってください……！ (4月11日 14時) (レス) id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
駄菓子だいすき - 神なんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！？！？最高ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！！！！！！ (9月28日 22時) (レス) @page3 id: 189d30a5fb (このIDを非表示/違反報告)
星月アオイ - すきですううううううううううううううううううううううううう (9月22日 14時) (レス) @page2 id: bf6dfd2e0c (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - いやぁぁぁぁすきぃぃぃぃ (9月18日 22時) (レス) @page1 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：松前菊 | 作成日時：2023年9月10日 11時
