五週間目 ページ13
無惨「娘を渡せ。」
娘は私の膝の上で寝ていた。彼女曰く"安心できる"とのこと。
黒死牟「...」
無惨「聞こえているのか?」
黒死牟「聞こえている...連れていく...」
連れていくときもずっとしがみついている。私から離れることはなかった。
黒死牟「...起きろ」
「...」
まるで赤子のように、起きることを嫌がって私から離れようとしない。何とも云えぬ感情...そうか
黒死牟「(この不思議な感情...だから私は...)」
無惨「もういい。私が連れていく」
無惨様が連れていこうとしたとき、彼女を抱きしめる力が強くなった。無惨に睨まれすぐに離してしまったが、この感情は本物かもしれない
童磨「僕にはよくわからないけど...恋っていうものですかな?黒死牟殿」
黒死牟「...若しそうだとしたら...私も落ちたものだ...」
最近は無惨様の私を見る目が少し強い気がする。私に変化が起きているからだ
私自身も、自分が劣化しているということを自覚している。この感情を捨てようという気にはなれない
猗窩座「今日も聞こえる。」
童磨「あの方も上手くなったねえ...黒死牟殿?」
黒死牟「...私は...」
後から聞いた話によれば、私は一粒の涙を流していたらしい。本当に劣化してきている
五週間目の終わりが近づく頃、娘は私に近寄らないようになった。だがご飯だけは確りと食べている
童磨「変化を嫌うあの方に何をされるか...そう云ったら、娘は黒死牟殿に近づかなくなった。これで黒死牟殿も暫くは...」
黒死牟「余計なことを...するな」
童磨を振り払い、娘のいる部屋の障子を蹴り飛ばす
「ぶッッ!?」
黒死牟「吐き出すほど...体調が悪いか...」
「急に蹴り飛ばしてきたら誰でも吐いちゃいますよ!?急にこんな...」
黒死牟「私を...忘れるなよ」
娘を抱き寄せると、娘は涙をぼろぼろと溢した。やはり無理をしていたのか
黒死牟「不安か」
「...とても不安。このままだと黒死牟が消えてしまう」
黒死牟「こうしよう...朝、正午、深夜...一日に三回だけ会う。感情も抑えれる...」
「そしたら死なない...?」
黒死牟「鬼に...死んでほしく...ないのか...」
「禰図子同様、厳勝にも死んでほしくない...厳勝...荼津と善逸と同じぐらい...鬼にこんな感情を抱くなんて、変だと思うけど...私...」
ああ、娘も同じか
私と同じ感情を抱いていたのか
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作者名:琲世 | 作成日時:2019年7月25日 12時