私を忘れないで ページ12
三週間目は会えなかった。日記を書く気力も、ご飯を食べる気力もなくなっていった。あの鬼だけが私が頑張れる理由なのに、ずっと会えない。
童磨｢人間も鬼も、ご飯を食べなければ死んでしまうよ？｣
｢...｣
童磨｢黒死牟には来週に会えるかもねえ。君が好きなお花を探しているよ｣
｢本当...？｣
童磨｢鬼が嫌いなのに、彼が好きなのかい？結婚しているのに？｣
｢此処は嫌い。でもあの鬼は私に優しくしてくれた。この場所では、黒死牟だけが信用できる。｣
童磨｢ふうん？｣
少しだけ希望が持てた。今の私は黒死牟に依存している
それほど私は居場所がほしかった。どんな場所でも、一つの居場所がほしかった。
童磨｢プリンは美味しいかい？｣
｢美味しい...とても。｣
童磨｢君の身体が少しでも変化すれば、あの方は怒ってしまう。その怒りの矛先は黒死牟に向けられるかもしれないよ｣
｢...！｣
童磨｢ちゃんと食べるんだよ。黒死牟を傷つけないためにもねぇ？｣
黒死牟の隣が落ち着く。他の鬼は嫌いだ
あの鬼がいなくなれば、私はもう
だから痩せないように食べ続けた。いつしか逃げることも諦めていた。
四週間目に突入し、悲しいという感情を抑えた。拷問の時もとにかく感情を抑えようとしたが、痛みだけは誤魔化せない。
｢...｣
無惨｢しぶといな。だがこれ以上やれば死んでしまう｣
｢絶対に...吐かない...｣
無惨｢...黒死牟、後はわかるな｣
黒死牟｢ああ...｣
その名前と声、顔をあげると黒死牟がそこにいた。一輪の花を持って。
黒死牟｢すまない...彼岸花は...まだ...｣
無惨｢娘の機嫌を損ねないようにするのも必要だ。それに、娘はもうすぐで嫌でも吐くことになるだろう｣
｢...｣
黒死牟｢花に合う壺も取ってきた...お前を忘れない...お前も私を忘れるな...私の人間の頃の名は...継国厳勝...どう呼んでも...｣
｢みち...かつ、厳勝。みち、かつ、厳、厳勝、厳勝、厳勝｣
黒死牟｢外しても...いいか？｣
無惨｢好きにしろ｣
手枷を外してもらってすぐ、黒死牟を抱きしめた。私は本当に依存しやすい女だ
｢行か...ないで...｣
黒死牟｢一つ...提案がある｣
黒死牟からの提案は残酷なもの。でも依存している相手の提案を断るなんて、私には難しい話だった
｢少しだけ...少しだけ考えさせて...｣
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作者名：琲世 | 作成日時：2019年7月25日 12時
