152話 ページ18
車をかっ飛ばして、ようやく空港に着く。
隣にいる中島は誰かに電話を何度もかけていた。
が、繋がらないらしい。
健)走るぞ！
風)A…どこだ…
ケ)菊池さん！中島さん！
国際ターミナルを走り回っていると、
知らない男に呼び止められた。
健)ケイくん！ 風磨、この子はAちゃんの…
風)そんなことより、Aは！？
ケ)…30分前に…
風)…っ くそ！
空港の壁を思い切り叩く。
周りにいたやつがこっちを見るけど、そんなん
気にもならない。
ケ)これ、Aから、お二人に…
渡された小さな紙はAがいつも持ち歩いて
いたメモ用紙。
「風磨と健人くんへ
仕事ちゃんとしないとダメでしょ？
早く戻って、SZが最高のグループだって
見せつけてきて！ Aより」
A……
おれは、Aに見てもらいたかった。
お前だけに見てもらえればよかったんだ。
お前が見ないステージなら、俺はどうだって…
ケ)あの、これ、Aと最後に撮った写真なん
ですけど…
風)いい…
誰がめちゃくちゃ好きだった女が他の男と撮った写真を見たいっていうんだ。
しかも、もう会えないっていうのに。
健)風磨そう言わずに…
風)いい。
健)見ろって！
強制的に見させられたスマホの画面には、
いつもの顔で微笑むA。
俺がいなくても「いつも」の笑顔は作れるんだ。
風)俺がいなくても、幸せそうだな。
ケ)菊池さん…
健)お前、なにを見てるんだ？
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作者名：テイル | 作成日時：2018年5月31日 16時
