目が覚めたらそこはクラリネスでした。３

122話　 ページ24

貴方)ゼン、ちょっといい？









白雪の父殿との話し合いを終えたすぐ後
機会を伺っていたかのように
Aがフラッと現れた。









ゼン)ああ。





貴方)ありがとう。
あ、初めまして。武風さん。
白雪の友達のAです。





武風)ああ、初めまして。
俺は山の獅子の大将、
むか…
え、なんで知って…？





ゼン)気にしないでください。
A！混乱するようなことするな！





貴方)ははっ
だって見るからに白雪と同じ感じじゃん？
誠実というか素直というか…ついね？





鹿月)ははは
親父言われてやんの





ゼン)で、ようはなんなんだ？









俺がそう聞くと
俺たちに過去を隠してヘラヘラと装っていた
あの頃みたいな笑顔をやめた。

と思ったら…








ドンっっっっ






勢いよく土下座した。









貴方)ごめんなさい！
白雪を危険な目に合わせて。









そして震えた声でそういった。









ゼン)はあ…
お前ってやつは本当に、
ど阿呆だな！！！！！！！！！





武風)………は…？





貴方)今はっ
優しさなんていらない。









そういうAの声は震えて
ほとんど聞こえない。









ゼン)優しさとかじゃない。
それとも俺が、大切な仲間が危険な目にあっても、
何にもおもわない。
ましてや、白雪のことしか考えられないような
薄情者に見えるのか？





貴方)せっかく信頼してっ
仲間だからって
ゼンの一番大切な人を任せてくれたのに…
あんな目に遭わせた…
自分に腹がたつの。





ゼン)それは
誰もそんなこと思って





貴方)ゼン。
いくらゼンからでも
その言葉は聞けないよ。
私は白雪を守るためにここにきたの。









俺をぐっと見上げたその目には
後少しでこぼれ落ちそうなほど
涙が溢れている。









ゼン)本当にお前は俺が何をいっても聞かないな。

だがな、またタンバルンへ赴く時の
護衛はお前に頼むぞ。





貴方)…はぃ………
はい！！！！！









そう力強く言うAを
俺はどれほど心配しなくちゃいけないのだろうか。

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