狐422 ページ46
Aside
悲しそうな顔をする、渚。
私は力強く頷いた。
もう充分だよ。
カルマが無事だったんだから。
カルマに向き直って、直後、
からかうように笑った。
A「……っ、あははー。冗談ですよ」
中村「A……。」
A「カルマさんは、
私が元好きだった人なんでー。
私、今別の彼氏いますしー」
心が、ズキンって痛む音がした。
演技だよ。嘘なんだよ。
そうわかっていても、泣きそうになる。
造り笑顔が崩れそうになる。
カルマの顔が一瞬にして和んだ。
カルマ「なんだー、俺ちょっと期待しちゃった」
A「何期待してるんですかー、先輩。
じゃ、私これから彼とデートなんでっ！」
年の差。
即興設定。
全部、彼から離れるために、たった今作った。
笑顔、自然に見えるかな。
見抜いてって心は叫んでる。
けどいいんだ。
見抜かないで、このまま別れよう。
違う道を進もう。ね、カルマ。
前のあなたに、聞こえてますか。
この声、この気持ち、この心拍。
全部、聞こえてたらいいな。
カルマ「で？その彼氏ってどんな人？」
ドアの前まで来たとき、
彼は私に笑って訊いてくる。
私は泣いていた。
カルマを見ないようにして、
ドアに手を掛けて。
静かに、微笑んだ。
A「甘いもの大好きで、
意地悪なんだけど優しくて。
バカでバカで、一生懸命で。
＿＿＿＿嘘つきなひとなの。
でもね、大好きなひとなの。
それだけ。じゃあね」
逃げるように病室から出た。
カラカラ、と押し車を走らせる。
体のどこかしこが痛んだ。
胸がズキズキ痛んだ。
大好きだったの。
今でも大好きなの。
嘘つき、ずっと一緒に居てくれるって言ったじゃん。
ばか。
……違うか。
カルマは私を守っただけ。
離れていくのは、私の方なんだ。
莉桜がすぐに追いついてくれた。
涙が溢れて、止まりそうにない。
A「っ、り、莉桜……！！」
莉桜に抱き着いた。
苦しいよ。
大好きなのが辛いよ。
なんで会っちゃったんだろ。
辛すぎて、どうしようもなくて。
ただ莉桜にしがみついた。
温かい。
優しい。
中村「……頑張ったよ。A、頑張った」
A「……莉桜、お願い、聞いてくれる」
中村「いいよ。何でも」
じゃあ、と私は莉桜を見上げた。
A「カルマに、私の名前、教えないで」
私は、E組を去った。
皆が止める声も聞かずに。
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楽音ヒマリ(プロフ) - 夢主や業君とE組生徒達の絆の関係など素晴らしくて終始涙が止まりませんでした…1番は最後の浅野君が登場した時、思い出してないんだなという所に胸が締め付けられてしまいました…理事長は知ってたのか等の考察が出来る最後でした、ありがとうございました (2019年8月13日 3時) (
レス) id: 67b7da66f0 (このIDを非表示/違反報告)
エリん(プロフ) - 久し振りにどうしても気になって来てみましたが…まだこんなに読んでもらえてコメントも貰えるなんて…どんなコメントでも嬉しいです。沢山の方に支えて頂き、楽しんで頂き、本当にありがとうございます。 (2018年8月30日 21時) (レス) id: 307616027c (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - カルマくんが好きでいろんな小説読んできましたが、1番感動しておもしろかったです。話が終わってしまい寂しいですが、この小説を書いていただき、本当にありがとうございました！！次の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月6日 15時) (レス) id: 1371580f3c (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴 - ごめんなさい！何か、話の最後がズレ過ぎて、よく分かりませんでした (2018年7月20日 22時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
真命 - すごく感動しました！久しぶりにこんな良いお話を見ることができました！ (2018年6月18日 12時) (レス) id: 005e3ba049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリん
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/Erin02rabb1/
作成日時：2016年12月19日 16時
