狐414 ページ38
Aside
その時、膝にカルマが頭を押し付けてきた。
苦しそうに。
カルマ「う……っ……？！」
A「カルマ……ねえ、カルマ？！」
カルマの様子が、急に変になった。
嘘だよね。
ねえ、あの薬は、何。
心の中で疑問と焦りが渦巻くけれど、
どれも声にはならなかった。
ただ、嫌な予感だけが、頬を掠めるようにして飛んでいく。
烏間先生、早く来て。
病院に、カルマを……！
杉野「おい、救急車は？！」
渚「もう呼んでるよ！！」
大好きな人の顔が、
酷く疲れたようになっていく。
怖いよ。
私の手も震える。
カルマ「……何か、軽……？」
死なないで。
お願い、死なないで……！
兄さんもおばさんも失った。
カルマまで失ったら。
私、生きていけないよ。
カルマがいない世界なんて、
受け入れられないよ。
A「カルマ……カルマ？！
かるま、かるま、ねえ、返事して！！ねえ！！！」
頭を抱え上げて、必死で呼びかけた。
カルマは目を閉じてしまった。
顔を上げてくれない。
笑ってくれない。
Aって、呼んでくれない……。
本気で、神様に願った。
人間は都合のいい時だけ神様を信じるんだって、
どこかで聞いたことがある。
けど祈った。願った。
私の何もかもを失ってもいい。
命だって、大切なものだってくれてやる。
親の形見のこの銀の弓でも。
誰かと過ごした思い出でも。
私がどれだけ悔やむものでも構わない。
だから、お願いします。
カルマを。
私の大好きな人を、助けて……！！
渚「……A……。」
私、泣いてるんだ。
俯いて、鼻先から涙がぽろぽろ溢れてるんだ。
どうしようもないくらい寒くって。
痛くて不安で、潰れてしまいそう。
目を、ぎゅっと、ぎゅっと瞑った。
それから何分経っただろう。
カルマ「…………あれ……。」
ふと、彼の声が聞こえた。
静かな空間に、ぽつり、と。
愛しい彼の声が。
渚「あ……」
驚いたような、渚の声。
すぐには目を開けられなかった。
瞼を固く閉じていた。
祈るだけで、
奇跡なんて信じてなかったのかもしれない。
胸が苦しかった。
狂ってしまいそうだった。
怖かった。
もう目を覚まさないんじゃないかって。
目を開いた。
目が合った。
よかった。
涙がもう一筋滑る。
＿＿＿＿どれだけ私が祈ったか、
あなたにはわからないでしょう。
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楽音ヒマリ(プロフ) - 夢主や業君とE組生徒達の絆の関係など素晴らしくて終始涙が止まりませんでした…1番は最後の浅野君が登場した時、思い出してないんだなという所に胸が締め付けられてしまいました…理事長は知ってたのか等の考察が出来る最後でした、ありがとうございました (2019年8月13日 3時) (
レス) id: 67b7da66f0 (このIDを非表示/違反報告)
エリん(プロフ) - 久し振りにどうしても気になって来てみましたが…まだこんなに読んでもらえてコメントも貰えるなんて…どんなコメントでも嬉しいです。沢山の方に支えて頂き、楽しんで頂き、本当にありがとうございます。 (2018年8月30日 21時) (レス) id: 307616027c (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - カルマくんが好きでいろんな小説読んできましたが、1番感動しておもしろかったです。話が終わってしまい寂しいですが、この小説を書いていただき、本当にありがとうございました！！次の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月6日 15時) (レス) id: 1371580f3c (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴 - ごめんなさい！何か、話の最後がズレ過ぎて、よく分かりませんでした (2018年7月20日 22時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
真命 - すごく感動しました！久しぶりにこんな良いお話を見ることができました！ (2018年6月18日 12時) (レス) id: 005e3ba049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリん
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/Erin02rabb1/
作成日時：2016年12月19日 16時
