狐413 ページ37
Aside
注射器を抜いた。
中身は既に空になっていた。
何が入っていたのか、考えただけでぞっとする。
白衣の人の安否なんてどうでもいい。
カルマの頭を膝に乗せた。
重い。
まだ、温かい。
その温かさに、苦しくなる。
死なないで。
お願い、死なないで……！
カルマは返事してくれない。
熱が冷めることもない。
ただ瞼を閉じたままの彼。
涙が、カルマの瞼に落ちた。
＿＿＿＿私はいつか、
大切な人を殺してしまうかもしれない。
そう考えたのはいつだったか。
あの時、私はカルマから離れるべきだったのか。
わからないよ。
本当に、わからない。
さっき放たれた注射器は、
私が居た場所を狙って放たれていた。
それをカルマが庇って。
傷だらけ、怪我だらけの体で庇って。
悪いのは私だ。
全部、私のせいで。
不意に、カルマが静かに目を開けた。
カルマ、と呼びかける。
私の声、涙声だ。
よかった。
目、覚めた……！
カルマ「やー、これ当たったっぽい……」
どうして。
カルマ、笑ってる。
カルマは、脇にあった注射器を摘み上げて、
それを落とした。
体が震えている。
A「カルマ……？」
カルマ「この薬って……そっか。」
A「……ごめんね。私のせいで……！」
何の薬だろう。
記憶操作？
触手？
人体変化？
それとも新種のウイルス？
試作品？
ただのジュースとか献血のやつだったら、
どんなに良かっただろうか。
この研究室の薬だ。
何が入ってても、嫌だ。
絶対に、嫌だ……！！
カルマ「なんで謝るの。……いっつ……？！」
磯貝「カルマ？！」
千葉「……ッ、大丈夫か」
速水「立てる？」
悠馬くん達も近寄ってきた。
後ろから寺坂さんたちが来る。
手を縛って、予想通りの人を連れていた。
寺坂「こいつ、急にいなくなったんだ」
アサさんという人だった。
隣で莉桜が、彼女の持っていた保冷鞄を持っている。
中村「……嘘だったんですね」
アサ「ッ……」
カルマ「そうですか。
あなたが、黒幕だったんですね」
アサ「……」
アサさんは無言の肯定で、
問いかけには反応せずに顔を逸らした。
許さない。
この人が、何もかも。
A「……離れを爆破したのも、
あなたなんですか」
アサ「……」
A「兄さんに研究所を紹介したのも」
アサ「……」
A「全部、あなたのせいなんですか……？」
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楽音ヒマリ(プロフ) - 夢主や業君とE組生徒達の絆の関係など素晴らしくて終始涙が止まりませんでした…1番は最後の浅野君が登場した時、思い出してないんだなという所に胸が締め付けられてしまいました…理事長は知ってたのか等の考察が出来る最後でした、ありがとうございました (2019年8月13日 3時) (
レス) id: 67b7da66f0 (このIDを非表示/違反報告)
エリん(プロフ) - 久し振りにどうしても気になって来てみましたが…まだこんなに読んでもらえてコメントも貰えるなんて…どんなコメントでも嬉しいです。沢山の方に支えて頂き、楽しんで頂き、本当にありがとうございます。 (2018年8月30日 21時) (レス) id: 307616027c (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - カルマくんが好きでいろんな小説読んできましたが、1番感動しておもしろかったです。話が終わってしまい寂しいですが、この小説を書いていただき、本当にありがとうございました！！次の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月6日 15時) (レス) id: 1371580f3c (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴 - ごめんなさい！何か、話の最後がズレ過ぎて、よく分かりませんでした (2018年7月20日 22時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
真命 - すごく感動しました！久しぶりにこんな良いお話を見ることができました！ (2018年6月18日 12時) (レス) id: 005e3ba049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリん
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/Erin02rabb1/
作成日時：2016年12月19日 16時
