狐408 ページ32
Aside
＿＿視界いっぱいの青空。
雲の濁りもひとつとして無い、青空。
白い花畑。
太陽はどこにもなくて、
薄い桃色の丸い花弁が降り始めの雪のように降っている。
ここは、どこ。
立ち上がって、体は軽かった。
A、と名前を呼ぶ声が聞こえる。
私、呼ばれてる。
誰だろう。
私は近付こうとして、止めた。
私が近づいたら、皆不幸になちゃうんだっけ。
昔からそうだった。
ならこれからもきっとそう。
忘れられない人がいたはずなのに。
その顔が思い出せないや。
私が大好きだったのは、中学校の仲間だっけ。
あれ、高校だっけ。
会社の同僚？
組とか課とか、周りの人は？
全部、思い出せないや。
思い出したら不幸になっちゃう。
私は、自分を不幸にしていたんだ。
なんでだろう。
悲しい。
『また』忘れるのが悲しい。
あれ、私は何かを忘れようとしているの？
どうして？
なら、止めなくちゃ。
私、もう、何も忘れたくない。
逃げないとか、カッコいい言葉じゃないけど。
忘れたら、絶対に悲しいよ。
だから、もう。
大切な人も、自分のお話も、
＿＿＿＿＿絶対、忘れたくない。
＿＿＿＿ずっと、一緒にいるんだ。
A「っ……はあ……？！」
目を開けた。
視界いっぱいに広がっている、カルマの顔。
一瞬わけがわからなくて、
「かるま？」と当たり前のような質問。
頷く相手。
……。
……。
顔近ッ！！！！
A「ななな、なにしてルンデスカ」
カルマ「お姫様を守り切った勇敢な騎士にそれはないでしょ」
……？
頬に、温かい涙が落ちた。
違う。
これ、血だ……！
ようやく、自分の立場がわかる。
カルマを守ろうと突き飛ばして、
その私をカルマが庇って……？！
彼の赤い髪がふわりと額に当たる。
A「何してんのバカ！！
バカバカバカ……私、カルマを守ろうとしたのに、
これじゃ……」
カルマの後ろは、天井が全部崩れ切ったようでからっぽだった。
空が見える。
私に覆いかぶさるように守ってくれていた。
カルマ「よかった……Aが無事で」
彼は心底安心そうに笑う。
私は、いつか。
いつか周りの人を全員殺してしまうかもしれない。
そんな根拠もない不安を搔き消してカルマに抱き着いた。
A「……本当、バカ……」
よかった。
カルマが生きてて。
出会えて、よかった。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「暗殺教室」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楽音ヒマリ(プロフ) - 夢主や業君とE組生徒達の絆の関係など素晴らしくて終始涙が止まりませんでした…1番は最後の浅野君が登場した時、思い出してないんだなという所に胸が締め付けられてしまいました…理事長は知ってたのか等の考察が出来る最後でした、ありがとうございました (2019年8月13日 3時) (
レス) id: 67b7da66f0 (このIDを非表示/違反報告)
エリん(プロフ) - 久し振りにどうしても気になって来てみましたが…まだこんなに読んでもらえてコメントも貰えるなんて…どんなコメントでも嬉しいです。沢山の方に支えて頂き、楽しんで頂き、本当にありがとうございます。 (2018年8月30日 21時) (レス) id: 307616027c (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - カルマくんが好きでいろんな小説読んできましたが、1番感動しておもしろかったです。話が終わってしまい寂しいですが、この小説を書いていただき、本当にありがとうございました！！次の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月6日 15時) (レス) id: 1371580f3c (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴 - ごめんなさい！何か、話の最後がズレ過ぎて、よく分かりませんでした (2018年7月20日 22時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
真命 - すごく感動しました！久しぶりにこんな良いお話を見ることができました！ (2018年6月18日 12時) (レス) id: 005e3ba049 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エリん
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/Erin02rabb1/
作成日時：2016年12月19日 16時
