狐399 ページ23
Aside
A「おばさん……ねえ、おばさん！！」
何度喋りかけても、もう動かない。
最後に聞いた『大好きよ』なんて言葉。
感動なんてできないよ。
かっこ悪いよ、そんなの。
目の前にある現実から、
どうしても逃げたかった。
けど私たちも動けない。
木のように静かで肌が凍ったおばさんが、
瓦礫の大部分を抑制したまま固まっている。
厚い皮の下で、
力の弱い私が動くことは叶わなかった。
カルマの足音が唯一心を落ち着かせる。
上の階で鍵とやらを探しているのだろうか。
早く来てよ。
私ひとりじゃ、耐えられないよ。
下に目をやると、外せそうな板があった。
宮田「そこが下の外階段に続いている。」
ぶっきらぼうに答える兄さん。
目の前で人がこうなることに慣れているのだろうか。
A「……。」
宮田「……。」
それを口になんてとても出せなかったけど。
私にとって兄さんは家族のはずだ。
けど、どこか遠い存在に思える。
A「ずっと聞きたかったんですけど。
……どうして私を殺そうとするんですか。
私が知ってる兄さんは、
優しくて面倒見が良くて……。
何かあったんですか」
捨てるようにそう言うと、
相手からは含み笑いされた。
宮田「俺はお前を殺そうとなどしていない」
A「……なら、なんで！！」
宮田「けど、確かに殺そうとしていたのかもな。お前を。」
A「……意味わかんない」
宮田「俺は、お前に人形になってもらうつもりだった。
思考も記憶も操られるがままの、
指示通りにだけ動く人形に」
A「実験台にしたかったって事ですか」
言ってから自分で否定した。
実験体の人材が足りないだけで私を地の果てまで追い回すような性格ではない。
特にこだわりもないだろう。
私に特殊能力でもあるわけじゃないし。
宮田「いや。
……お前の両親の遺産が最終的に目当てだ。
それ以外は必要経路にあたる」
A「……。」
遺産……？
宮田「聞いているだろう。
お前の遺産が今、どこにあるか」
A「……教えない」
……あの時殺せんせーから聞いたのは、
実は中学校の下に埋め込まれているという話だった。
いや、あの時話したのは、
実は遺産を隠したおばさん本人だったのかも。
いつ入れ替わったのかは知らない。
宮田「実家だ」
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楽音ヒマリ(プロフ) - 夢主や業君とE組生徒達の絆の関係など素晴らしくて終始涙が止まりませんでした…1番は最後の浅野君が登場した時、思い出してないんだなという所に胸が締め付けられてしまいました…理事長は知ってたのか等の考察が出来る最後でした、ありがとうございました (2019年8月13日 3時) (
レス) id: 67b7da66f0 (このIDを非表示/違反報告)
エリん(プロフ) - 久し振りにどうしても気になって来てみましたが…まだこんなに読んでもらえてコメントも貰えるなんて…どんなコメントでも嬉しいです。沢山の方に支えて頂き、楽しんで頂き、本当にありがとうございます。 (2018年8月30日 21時) (レス) id: 307616027c (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - カルマくんが好きでいろんな小説読んできましたが、1番感動しておもしろかったです。話が終わってしまい寂しいですが、この小説を書いていただき、本当にありがとうございました！！次の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月6日 15時) (レス) id: 1371580f3c (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴 - ごめんなさい！何か、話の最後がズレ過ぎて、よく分かりませんでした (2018年7月20日 22時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
真命 - すごく感動しました！久しぶりにこんな良いお話を見ることができました！ (2018年6月18日 12時) (レス) id: 005e3ba049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリん
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/Erin02rabb1/
作成日時：2016年12月19日 16時
