狐397 ページ21
Aside
ざ、とカルマの靴の音が聞こえる。
……嫌だ。
絶対に、離れたくない。
このままだと私の命が危ない。
だから助けを呼んでくれようとしている。
けど、離れたらもう一生会えないような。
恐怖にも似た膨大な不安。
瓦礫の外に、届かないなんてわかってるけど、
懸命に手を伸ばす。
A「だめ、行かないで……っ、きゃああ？！」
ガラガラ、とまた瓦礫の配置が変わった。
どうすれば……？！
カルマも同じことを考えてたようで、
悔しそうな舌打ちが聞こえる。
カルマ「クソ、どうすれば……。
殺せんせー、そこにいるんだよな？」
殺せんせー「は、はい……。
けど先生の力だけではこの状況はどうも……」
……先生の声に、よく似ている。
いや先生の声そのものだ。
姿は溶けるように変化しているけれど。
どうなってるの……？
その時、兄さんがボソリと口を開いた。
それでいて頼もしい声。
宮田「上の階の金庫室。
そこにある鍵を使えば、外階段から脱出できるかもしれない」
カルマ「外階段？」
宮田「この部屋の下から、外に続いている階段がある。
その鍵だ。
上手くいけばここから外へ脱出できるだろう」
A「兄さん……。」
カルマ「……今はあんたの言葉を信じるよ。
Aに何かしたら絶対許さないからな」
いつものような余裕がない声。
私が何か言おうとした前に、
彼は急いで去って行った。
大丈夫かな。カルマ。
私の安全よりずっと気になる。
……あまり喋らない殺せんせーが、
遂に『溶けた』。
ぼたり、と落ちる、茶色に変わった触手と液。
A「……嘘」
そこからぼろぼろになった長い脚と、
綺麗な細くて黒い髪が露わになる。
纏っていたいたものが、
まるで溶け落ちるように。
そこから白い布が現れ、
長くて美しい腕が現れ、
傷だらけの肌が現れ。
瓦礫を支える触手だけが、
灰色に染まってしっかり動いている。
宮田「やはりお前か」
信じられなかった。
どうして。
殺せんせーじゃないの？
私の前に現れたのは、
綺麗な、けれど細い傷だらけの女の人。
私は、この人を知っている。
宮田「まだ生きていたのか。
＿＿＿＿宮田ちづは」
ちづは「……生憎と、私はわが子が大好きなのよ」
このままじゃ死ねないわ、と。
その人は笑った。
私の、おばさん。
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楽音ヒマリ(プロフ) - 夢主や業君とE組生徒達の絆の関係など素晴らしくて終始涙が止まりませんでした…1番は最後の浅野君が登場した時、思い出してないんだなという所に胸が締め付けられてしまいました…理事長は知ってたのか等の考察が出来る最後でした、ありがとうございました (2019年8月13日 3時) (
レス) id: 67b7da66f0 (このIDを非表示/違反報告)
エリん(プロフ) - 久し振りにどうしても気になって来てみましたが…まだこんなに読んでもらえてコメントも貰えるなんて…どんなコメントでも嬉しいです。沢山の方に支えて頂き、楽しんで頂き、本当にありがとうございます。 (2018年8月30日 21時) (レス) id: 307616027c (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - カルマくんが好きでいろんな小説読んできましたが、1番感動しておもしろかったです。話が終わってしまい寂しいですが、この小説を書いていただき、本当にありがとうございました！！次の作品も楽しみにしてます。 (2018年8月6日 15時) (レス) id: 1371580f3c (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴 - ごめんなさい！何か、話の最後がズレ過ぎて、よく分かりませんでした (2018年7月20日 22時) (レス) id: 78c191449c (このIDを非表示/違反報告)
真命 - すごく感動しました！久しぶりにこんな良いお話を見ることができました！ (2018年6月18日 12時) (レス) id: 005e3ba049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリん
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/Erin02rabb1/
作成日時：2016年12月19日 16時
