アクアリウムに溺れて

４３　　 ページ44

2日後。


　 朝、事務所に着くとスタッフさんが忙しなく動いている。

　 雰囲気は最悪で何か焦ってる様子。

　 りかに聞いても知らないみたいで「さぁ？私は何も聞いてない」と

　 暢気にグミを口に入れながら廊下を歩いている。


　 マナーモードにしてるスマホが震えて画面を見ると

　 「神谷浩史」と表示されている。

　 以前、一緒に仕事をしてから仲良くしてくれている声優さん。

　 電話に出ると焦った様子で「ことり大丈夫？」って言われたけど

　 私にはさっぱりで意味が判らない。

　 頭の中は？？？で『浩にい、落ち着いて話してください』とお願いしたら



　 神谷「西島君、写真撮られて週刊誌に載ってる」



　 撮られた？週刊誌？



　 神谷「ことりじゃない女性とホテルに入って行く所撮られた。
　 3日前の写真みたい。女性は雰囲気からしてことりじゃないと思うけど」



　 ３日前？帰りが遅かった日だ。

　 ツアーお準備で遅くなるって言ってた日。

　 変わった様子はなかったけどな。



　 神谷「何かあったら言って力になるから」


　 『浩にいありがとう』って電話を切った。


　
　 頭が真っ白になる、また裏切られてた？

　 2度目のプロポーズは冗談だった？

　 その時の気の迷い？

　 気分が悪くなりその場にしゃがみこんで必死で涙を堪えた。

　 りかの私を呼ぶ声が次第に聞こえなくなりその場で意識が途絶えた。

４４　　→←４２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す