アクアリウムに溺れて

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隆弘

　「ことりは買いたい物とかある？」


　歩きながら隣を歩くことりに話しかける。

　ちょっと恥ずかしそうに


　『トレーニングウエアが欲しくて・・・』

　「スポーツでもするの？」

　『仕事で使うから何着か欲しくて、運動するような靴選んでもらえないかな？』


　 年齢の割には童顔のことり。

　 顔を真っ赤にしてお願いをしてくる。

　 でも、運動が苦手なことりがスポーツ？


　「じゃ、スポーツショップね」


　 思わず手を握りそうになり、ことりが持っている案内図を手に取りごまかす。

　 本当は手を握って買い物をしたい。

　 でも、オレの罪はそれをまだ許してくれない。

　 許される日が早くくればいいと思う反面、一生こないんじゃないかという恐怖。



　『隆弘どうしたの？お腹痛い？』



　 顔を覗き込んでくることり。

　 でも、笑顔で


　『大丈夫なら早く行こう！』


　オレのシャツの裾を握って急かす。
　


　「シャツ伸びるから引っ張るなっ」


　って意地悪なセリフを吐く。

　嘘、伸びてもいいから指じゃなくていいからオレに触れてて欲しい。

　『えへへ』って笑いながら裾を引っ張って歩く姿。

　他人から見たら、ちゃんとカップルに見えるだろうか？

　そんな事を思いながらショップに向かった。

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