相澤さん家の娘さん2

第89話 いつも通りの日常 ページ43

あれから1週間後の今日にいたるまで
学校では皆それぞれの受験があったようだった


「そういえば、Aちゃんｯ!!!!聞いて聞いて!!」

『ん??どうしたの?』

「なんと、志望校に……合格しましたｯ!!!!!!」

『お、おおお!!!!おおおおおおおおおおお!!!!!!!!良かったね!!!』

「うん!!!!まあ落ちたかなって思ったけど、なんとか合格してたの!!!」

『良かったね、本当に良かったとしか言えないけど……おめでとう文ちゃん!!』

文ちゃんは個性を生かし
将来はアナウンサーになりたいと言っていた

自分の思いを形にできる個性なら
思ったことを形にして誰かに伝えられる

そう考えた彼女らしい選択だと思う

文ちゃんはメディア関連の就職に
強い高校に進学が決定し

残すは雄英高校志望者と
県外受験者が残るだけになった


「残すは雄英受ける人と県外の高校受験だけだね」

『あぁぁ…………受かるかなぁ雄英』

「その前に士傑の合否すら分かってないんだよね」

『そうなの………このままじゃ禿げそう、色んな意味で禿げそう』

隣では文ちゃんが笑いながら
じゃあ禿げたら育毛剤を入学祝にするねと

笑いながら笑えないことを言ってくる

2人でこうやって帰り道をともにするのも
あと何回なのだろうか

確実に近付く"別れ"という季節に
気付かないフリをしながら

また今日という日が過ぎ去っていくのだ


『あ、今日スーパーの特売だ』

不意に
今日はスーパーの特売日だということを思い出し

何を買おうか頭の中で計画をたてる


「女子中学生から一気に主婦感溢れたね」

『残念ながら、そのような家庭を築ける相手がいませーん』

「まぁまぁ、Aちゃんはお母さんに似て綺麗……いや、可愛い……う〜んやっぱ綺麗???な顔だし性格も……うん、大丈夫!!!!」

『説得力ないね!!』

「とにかくｯ!!!!Aちゃんならすぐにいい人できるって!!!」

『仮にできたとしてもパパが許さないだろうな〜』

「ハハｯ想像できる、Aちゃんのパパ厳しそうだもんね!!」

仮に私が結婚することになったら
パパはどんな反応をするのだろうか

いや

そもそも彼氏ができただなんて言ったとしたら

それはそれは恐ろしい
地獄絵図ができあがることだろう

私は一気に背筋が凍るような思いに
苦笑しか出てこなくなった

第90話 祝福→←第88話 士傑高校推薦入試

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す